リハビリテーション評価

小脳梗塞の症状と評価方法について!

 

小脳梗塞の患者といってもその症状は様々です。
また通常の脳梗塞とは異なる症状や傾向もあるため、しっかりとした評価を行わないといけません。
そこで今回は『小脳梗塞の症状と評価方法』についてまとめてみました。

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小脳梗塞の症状について

この小脳梗塞の主な症状についてですが、以下のような症状があげられます。

1.めまい

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ぐるぐると回転したようなめまいやふらつきが症状としてあげられます。
小脳梗塞でみられるめまいのうち、6~7割の方は“フラフラ感”残りの3~4割の方が“ぐるぐる回る”ような回転性めまいの訴えという統計も出ています。
またどちらも吐き気や嘔吐を伴う場合がほとんどのようです。
この症状がきっかけで受診して小脳梗塞が見つかった…なんて方が多いようですね。

2.運動失調

失調とは“ある機能が調節を失うこと”とされています。
四肢の小脳性運動失調症は以下の6つの要素から構成されています。

1.測定障害

随意運動を目的のところで止めることができない現象を測定異常と呼びます。
この測定異常でも目的のところまで達しないのを測定過小、目的のところを通り過ぎたり行き過ぎてしまうのを測定過大と呼びます。

◆評価方法

Arm Stopping Test
示指-耳朶テストで判断できます。仰臥位で腕を伸ばし、示指を耳朶に宛てるように指示して評価します。
コップ把持テスト
コップを持つように指示すえると、障害側の手と非障害側の手とのコップを持つしぐさが異なる評価結果が観察できます。
障害側は指を過度に開き、手を過度に伸展し、コップより上すぎる空間にもっていってからコップをつかむといった様子が典型例のようです。
過回内試験
手掌を上に向けて両腕を水平に拳上させ、その次に手を回内させて下向きにさせると、障害側の手は廻りすぎてしまい、障害側の母指は非障害側の母指より下方にむく様子が観察できます。
線引き試験
1枚の紙の上に約10cm離して2本の平行な縦線を引き、患者にこの縦線間に直行するような横線を左から右に引かせるテスト。
小脳障害では右側の縦線のところでピタッと止めることができず、縦線を越える“測定過大”or縦線まで届かない“測定過小”…といった結果になります。

2.反復拮抗運動不能症


一肢または、身体の一部が交代運動(回内 ― 回外)を正確に行えないことを言います。

◆評価方法

手回内・回外検査
上肢を前方にゆったり拳上させ手掌を上に向けさせる。手を最大速度でできるだけ続けて回内・回外させる方法のテストです。
小脳障害があると正常よりものろく、不規則な様子が観察できます。
Finger Wiggle
手を机の上に置き、ピアノやタイピングを行うような要領で指を母指から順に素早く叩く運動を反復させるテストです。
小脳障害では指の動きは非常にゆっくりになります。
Foot Pat
かかとは床につけたまま、足首を屈伸させて足底でできるだけ早く底を叩くように指示します。
小脳障害の場合はゆっくりしか行えない様子が観察できます。
Tongue Wiggle
舌を提出させて左右に動かさせるor舌を出したりひっこめたりさせる方法でみるテストです。小脳障害の場合はこの運動が阻害されます。

*注意点:反復拮抗運動不能症は、運動麻痺や筋緊張の亢進、関節異常や深部感覚障害がある場合でもみられるため評価の際には注意が必要です。

3.運動分解

小脳性運動失調では運動の分解が症状としてみられるケースもあります。

◆評価方法

示指-耳朶試験
上肢を伸展させ示指で同側の耳たぶを真っすぐに指すように命ずると、示指-耳たぶ間を長辺とした三角形のうち、指先はこの三角形の長辺を真っすぐ通らず2辺を通るようになる…といった具合です。

4.協働収縮不能(協働収縮異常症)


あらゆるADL動作は単一な運動ではなく様々な運動が組み合わさったものです。
その複合的な運動には一定の順序、調和が保たれていることが必要で、これを協同収縮(運動)と呼びます。
協同収縮不能(協同収縮異常症)とは、この順序や調和が障害された状態を指します。

◆評価方法
・仰臥位で腕を組んだまま起き上がるように指示しても起き上がれず、障害側の下肢を高くあげてしまう傾向があります。
・立位姿勢で後ろに反らせるように指示すると、健常者でみられる代償動作である膝関節屈曲や頭部伸展がみられず、そのまま後ろに倒れてしまいます。

5.振戦

振戦とは筋肉の収縮、弛緩が繰り返された場合に起こる不随意のリズミカル運動である

一般的に呼ばれる“ふるえ”であり、小脳梗塞でなくても誰にでも起こりうる症状(ストレス、不安、疲労、アルコールの離脱症状etc)です。

◆評価方法

鼻指鼻試験
患者の示指を自分の鼻先にあてさせ、次にその指で検者の指先と患者の鼻先を交互に触るように命じて失調の有無を評価するテストです。
検者の指先は患者の示指の先端が肘を伸ばしてちょうどとどくくらいのところにおき、1回毎に指の位置を移動させることがポイントです。
また、「もっと速く」や「ゆっくり」といったスピードを変えるなど徐々に難易度を上げそれに対応できるかどうかを評価することも大切ですね。
指鼻試験
前述した“鼻指鼻試験”と前後して行うとよい評価です。腕を伸ばしてやや外転位をとらせ、そこから示指で自分の鼻の頭を触るように命じます。
最初は開眼で、その次に閉眼で検査をすることで運動障害が明らかに観察できることがあります。
評価するポイントとしては、運動の円滑さ、振戦の有無で、様々な位置から速度を変えて行うとよいです。
膝打ち試験
患者を座らせ、膝の上を1側ずつ手掌および手背で交互に素早く叩かせるテストです(両側同時に行う場合もあります)。
最初はゆっくりと次第に速度を増して、できるだけ早く行わせます。
評価ポイントですが、正常では迅速に規則正しく同じ場所を叩くことができるのに対し、障害がある場合は動作が遅く、不規則で、叩く場所も一定しないことが観察できます。
足趾手指試験
背臥位の姿勢で足の母趾を検者の示指につけるように命じるテストです。
注意点としては、検者の示指は患者が膝をまげて到達できるような位置におくことが必要です。
示指を素早く動かして患者に足の母趾でこれを応用に命じますが、小脳障害ではうまく追うことができない様子が観察できます。
踵膝試験
この評価テストはなるべく閉眼で行うのがよいようです。
一方のかかとを他側の膝につけ、またもとに戻す運動を繰り返す方法、一方のかかとを他側の膝にのせ、さらに母趾を天井に向けるようにしてかかとを向こう脛に沿って真っすぐに下降させ、足背に達したらもとの位置に戻させる方法(heel-shin test)、かかとが足背まで下降したら再び膝まで向こう脛の上を上昇させ、これを繰り返す方法もあります。
小脳障害の場合、かかとがうまく膝にのらない、向こう脛に沿って真っすぐ円滑に動かせないといった様子が観察できます。
向こう脛叩打試験
指示理解能力が低い患者の場合、踵膝試験が実施できないことがあります。
そのような時はこの向こう脛叩打試験を行うとよいようです。
これは一側の足を反対側の向こう脛の上大体10cmのところにあげ、足を十分に背屈させ、足趾を天井に向くようにさせて、かかとで反対側の向こう脛の膝から5cmぐらい下を叩かせる方法のテストです。
基準としては毎秒1~2回の速度で7~8回軽く叩かせ、一定のところを叩けないと運症失調と判定します。

6.時間測定障害

動作開始時や動作停止時に健常者よりも時間的に遅れることを言います。

◆評価方法

時間測定障害の評価方法
患者に検者の手を両側同時に握るように指示すると、障害側では動作の開始が遅れる。また完全に握りしめるまでの時間も遅れる。

3.筋緊張低下

病巣と同側の筋緊張の低下も小脳梗塞の症状としてあげられます。
この筋緊張の低下は、被動性の亢進、他動運動に対する抵抗の減弱として臨床上評価できる部分でもあります。

◆評価方法

Pendulousnessの検査
患者の胴体に手をあてて、その上体を左右にゆさぶると、筋緊張の低下している側の上肢は健側より大きく振れて体幹より遠ざかる様子がある場合は陽性となります。

4.Postural Fixationの異常

Postural Fixationとは姿勢の固定と訳されます。
これの異常ですから姿勢をじっと維持できずに崩れや振戦が症状として現れる…ということです。

◆評価方法

腕叩打試験
腕を前方に水平に伸展させ、眼を閉じさせる。さらに水平に伸ばした手関節に直角に下方に力を加える。
障害側の上肢は下降し、振戦を示してくる。力を加えると障害側上肢には異常な上下運動がおこる。

5.スチュアート・ホームズ反跳現象


抵抗に逆らって動作しようとして腕や脚に力を入れていているような状況の中で、急にその抵抗が除去されたときに腕や脚は動かそうとしていた方向に急激かつ力強く動き止めることができない…現象。
その他リバウンド現象,ホームズ現象とも呼ばれるようです。

◆評価方法

スチュアート・ホームズ反跳現象の評価方法
1.患者の上肢を肘関節で軽く屈曲させ、検者はその手関節を握る。
2.患者に腕を自分の胸部に向かって力いっぱい引くように指示。
3.検者はこれに抵抗を加える。患者が力いっぱい引いている間に急に手を離す。

*健常者では手で自分をの胸を打つことはないですが、陽性の現象(スチュアート・ホームズ兆候)では強く胸を打ってしまいます。
怪我を防止するためにも、あらかじめ患者の顔・胸部の前に検者のもう一方の手をおいて、受け止めるようにしておく必要があります。

6.書字障害

小脳梗塞の患者の症状で、書字障害として代表的なのは字を書かせるとだんだんと大きくなる大字症があげられます。
*逆の字を書かせるとだんだんと小さくなる小字症はパーキンソン病でみられます。

7.構音障害

構音筋の協調運動が不良となり、その結果ろれつが回らなくなったりしてうまく話せなくなるのが小脳梗塞による構音障害の特徴です。
特に子音の発音が不正確、語勢が単調あるいは過剰といった特徴もあるようです。

8.眼振

ジッと見つめようとしても視線が合わず、無意識で左右の眼球運動が起こってしまう症状を指します。

9.吐き気・嘔吐

小脳の障害で特に多い症状としてのめまいや吐き気があげられます。
発症早期に多くみられることがあり、なかなかうまくリハビリがすすまない…なんてこともあります。
患者本人の訴えや体調に合わせて介入する必要がありますね!

10.感覚障害

梗塞があった側の顔面や、その反対側の身体に感覚障害が生じる場合もあります。

まとめ

おおまかにでしたが、小脳梗塞や出血についての症状と評価方法についてまとめてみました!
小脳に障害がある場合、重度の麻痺の症状はないにしても、めまいの訴えや嘔気などによって著しくADLの低下を招くケースが多いように感じます。
クライアントの状態や訴えに配慮して、慎重に介入する必要があると言えます。

作業療法士は語りたい!

小脳系の疾患の人は、そのめまいや嘔気などの症状から、
メンタル面への配慮も非常に重要だと思うんだよね!
たしかに「リハビリだから!」の理由では、
吐き気がひどいような人は「それどころじゃない!!」なんて怒り出しそうですもんね!
だからこそ、入院中の場合は病棟スタッフとの連携が必要になるんだろうね!

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
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