“STEF”(上肢機能検査)の方法、注意点とカットオフ値について!

上肢機能検査でも頻繁に作業療法の臨床や現場で使われるものとして“STEF”があげられます。
今回はこのSTEFの検査方法、カットオフ値や注意点についてまとめてみました。

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STEFについて


簡易上肢機能検査(Simple Test for Evaluating hand Function:STEF)は10種類のテストから構成されています。
それぞれ大きさや形の異なる物品を把持して移動させる…という一連の動作に要した時間を計測し、決められた点数(1~10点)を加えて右手と左手との差を左右別に合計点数を算出します。
また多くのデータもあるため参考地との比較も可能となっています。

目的

STEFの検査目的としてはもちろんクライアントの上肢における動作能力を把握するため…になりますが、“客観的”かつ“短時間”で把握するという点がSTEFを利用しての検査目的としてあげられると思います。

対象

対象として特に疾患に限定的ではなく、あくまで上肢機能が低下している者…とされています。
作業療法の臨床や現場で多いのは、

・脳血管障害による片麻痺のクライアントの麻痺側と非麻痺側上肢の比較
・頚椎損傷による上肢機能低下
・リウマチによる上肢(特に巧緻性)機能低下
などがあげられます。
頚椎損傷やリウマチの場合は、平均値との点数の比較をすることで現段階でどの程度の上肢機能なのかを判断することができること、また課題項目においてどのような動作が苦手なのかを把握し、次の作業療法訓練に応用することができます。
同じSTEF検査を行っても対象の疾患や状態によって視点が変わってくるので注意が必要です!

特徴

STEFの検査の特徴としては、なによりも“作業スピード”が重視される点があげられます。
大きさや形、重さや素材が異なる10種類の物品をそれぞれ移動させ、その移動に要する時間を測定することで被験者の上肢動作機能を客観的に評価することができます。

STEFのメリット・デメリット

では、ここでSTEFのメリットとデメリットについて触れてみます。

メリット

STEFによる検査データがあるため、世代別での比較、健常者との比較がすぐに可能です。
もちろん何度か検査を行うことで被験者の上肢機能の経時的な変化を追うこともできます。
また上記で触れたように10種類の大きさや形の異なる物品を把持して移動させるというテストで構成されていることから、被験者の上肢のどの部分に制限があり、どのような動きが苦手なのか…を把握することができます。
対象が限定的でなく、幼児から高齢者まで幅広いという点もメリットとしてあげられますね。

デメリット

STEFのデメリットとしては、上肢に重篤な麻痺がある場合は検査項目の実施が困難なため検査不可能となり、STEFにはそれを拾い上げる代替手段がないという点があげられます。
また検査を実施する際に“爪の長さ”によって誤差が生じる場合もあるため、検査を行う際に注意や配慮が必要です。

カットオフ値と平均値

STEFの場合あくまで上肢の機能についての検査なので“カットオフ値”での判断というよりは、年齢平均値で考えたほうが妥当のようです。


引用:STEF公式マニュアル

方法

ではSTEFの10種類の検査について詳しくまとめてみます。

注意点

STEFを行う際の注意点としては以下のとおりです。

・すべての下位検査では、開始位置の手を上図の印の位置にします。
・測定時間の単位は小数点1位秒まで
・被検手の順は、利き手or非麻痺側、もしくは障害の程度が軽い側から行います
・対象物を落としてしまったり、所定の場所に移すことを誤った場合はやりなおします
・ただし3回とも失敗した場合はその下位検査は「不能」と判断されます

以下、下位検査の詳細についてですが執筆の便宜上“左片麻痺”の場合を想定しています。

検査1:大球


開始配置:上図のように大球を枠内に配置
指示:「このボールを右手で反対側に入れましょう。どのボールからでもかまいませんが、できるだけ早く行いましょう」
デモ:3個を右枠内から左枠内へ移動
終了基準:5個目のボールが所定の位置に入れられた瞬間
制限時間:30.0秒

検査2:中球


開始配置:上図のように中球を近位枠内に3個ずつ適当に配置
指示:「この球をこうやって、ここに入れましょう。右の球から順番に、できるだけはやくやりましょう」
デモ:検者が右側の中球3個を近位枠内から右枠内に移動
終了基準:左右3個の中球が近位枠内へ移動
制限時間:30.0秒

検査3:大直方体


開始配置:大直方を左枠内の外側・上側につめて配置
指示:「これを右手でこうやって反対側に入れましょう。どれからでもかまいいませんが、できるだけ早く行いましょう」
デモ:検者が大直方3個を左枠内の一番下から順に右枠内の上から順に移動する
終了基準:5個の大直方を右枠内に移動
制限時間:40.0秒

検査4:中立方体


開始配置:中立方を右枠内の上線と下線に3個ずつ配置
指示:「これを右手でこうやってここに入れましょう。どれからでもかまいませんが、できるだけ早く行いましょう」
デモ:検者が中立方3個を右枠内から近位枠内の左側に移動する
終了基準:6つの中立方を近位枠内に移動
制限時間:30.0秒

検査5:木円板


開始配置:近位枠の右外に6個配置
指示:「これを右手でこうやって順番にここに入れましょう。できるだけ早く行ってください。」
デモ:検者が左側の木円板3個を順に近位枠内の左側に移動
終了基準:6個の木円板を近位枠内に移動
制限時間:30.0秒

検査6:小立方体


開始配置:小立方を遠位枠外の右に6個配置
指示:「これを右手でこうやってここに入れましょう。きっちり並べる必要はありませんし、どれからでもかまいません。ただできるだけ早く行ってください。」
デモ:検者が小立方3個を近位枠内の左半分に移動する
終了基準:6個の小立方を近位枠内に移動
制限時間:30.0秒

検査7:布


開始配置:ビニール布を検査代のほぼ中央に上下3枚ずつ枚配置
指示:「これを右手で裏返しましょう。裏返した後はきっちり並べる必要はありません。どれからでもかまいませんからできるだけ早く行いましょう。」
デモ:検者がビニール布3枚を裏返す
終了基準:6枚のビニール布を全て裏返す
制限時間:30.0秒

検査8:金円板


開始配置:近位枠内に左右3枚ずつ配置
指示:「これを右手でこうやってここに入れましょう。どれからでもかまいませんが、できるだけ早く行いましょう。」
デモ:検者が金円板3枚を遠位枠内に移動
終了基準:6枚の金円板をすべて遠位枠に移動
制限時間:60.0秒

検査9:小球


開始配置:小球6個を遠位枠内に配置
指示:「これを右手でこうやってここに入れましょう。どれからでもかまいませんからできるだけ早く行いましょう」
デモ:検者が小球3個を近位枠内に移動
終了基準:6個の小球がすべて近位枠内に移動
制限時間:60.0秒

検査10:ピン


開始配置:ピン6本を近位枠内に右傾させて配置
指示:「これを右手でこうやってここに差し込みましょう。どれからでもかまいませんからできるだけ早く行いましょう。」
デモ:検者がピン3本を遠位枠下線にある所定の穴にさしこむ
終了基準:6本のピン全て穴に差し込む
制限時間:70.0秒

*中止判断の基準は、その検査項目も制限時間に達した場合「ハイ」と声掛け、ストップウォッチを停止します。

まとめ

上肢機能…特にその作業スピードを定量的に検査する方法としてはSTEFが代表的な検査だと思います。
多くの検査データを有している点からも比較検討しやすいということも非常に魅力的です。
作業療法士にとってクライアントの上肢機能の把握は避けては通れない課題でもあるので、しっかりとこの検査方法と解釈について知っておかないといけないでしょうね!

作業療法士は語りたい!

STEFは10種類の代表的な“手の動作”項目で構成されている点からも、非常に応用的に使えそうですよね!
STEFを実施して被験者の苦手な動きを把握し、
その動きを伴った動作や活動、作業を用いて訓練的な要素に加えていく…って手法が理想的かもね!
もちろんその訓練もクライアントにとって意味があって面白い作業でないといけないんですよね!
そういうこと!