QOLの本当の意味を考え出したら、「痛み」の軽減が最優先になったって話。

 

OTを始めとするリハビリテーションの領域では、頻繁に「QOL(Quality of Life):生活の質」という言葉が使われます。
何気なく使っているこのQOLという言葉…意味もそれとなく知っていますがなかなかその本当の意味はわかりにくいように感じます。
そこで今回は4つのQOLの評価方法を基礎に、このQOLの意味について考えてみました!

QOLとは


クオリティ・オブ・ライフ(英: quality of life、QOL)とは、一般に、ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質のことを指し、つまりある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念である。QOLの「幸福」とは、身心の健康、良好な人間関係、やりがいのある仕事、快適な住環境、十分な教育、レクリエーション活動、レジャーなど様々な観点から計られる。
またQOLには国家の発展、個人の人権・自由が保障されている度合い、居住の快適さとの関連性も指摘される。
引用:wikipedia

QOLの概念、定義



そもそもこのQOLについては、WHOが1947年の“健康憲章”内で

「…not merely the absence of disease, but physical, psychological and social well-being(…単に疾病がないということではなく,完全に身体的・心理的および社会的に満足のいく状態にあること)」

と健康について定義したことが基礎となっていると考えられます。

その上で1998年には「spirituality(宗教的,霊的,実存的)」を健康を定義する概念の中に加えることを提案しています。

QOLの定義や概念…となるとはっきりと明記されている文言は見当たらないのですが、上述の概念がQOLの概念に相当するものと考えてよいようです。

Spilker B.によるQOLの定義モデル

Spilker Bによると、QOLは

・身体的状態
・心理的状態
・社会的交流
・経済的、職業的状態
・宗教的、霊的状態

の5つに分類され(レベル2)、この基礎にこれら5つの領域それぞれを構成する要素(レベル1)、さらにレベル2の5つの領域すべてを包括的に評価したQOL(レベル3)で構成されていると定義しています。

では、この5つの分類それぞれに、QOL評価法の評価対象項目を以下にそれぞれ振り分けてみます!

身体的状態

QOLの各評価方法を基礎にこの身体的状態とは何が当てはまるのかというと、、、

・睡眠と休息(SIP・NHP)
・食事(SIP)
・歩行(SIP)
・移動(SIP・EQ-5D)
・身体、セルフケア(SIP・EQ-5D)
・覚醒行動(SIP)
・身体的機能(NHP・SF-36)
・痛み(NHP・SF-36・EQ-5D)

*注
SIP:Sickness Impact Profile
NHP:Nottingham Health Profile
SF-36:MOS Short-Form 36-Item Health. Survey
EQ-5D:EuroQol 5 Dimension

QOLの評価法の中で評価対象項目で多いのは「痛み」なんですね
「痛み」はダイレクトにQOLの低下を招くことになると考えていいのかもね!

心理的状態

次に“心理的状態”に当てはまる評価項目としては、、、

・情動行為(SIP)
・情緒反応(NHP)
・全体的メンタルヘルス(SIP)
・心の健康(SF-36)
・不安/抑うつ(EQ-5D)
「情動行為」「不安・抑うつ」から「心の健康」といったもので広い感じがしますね
「感情のコントロール」の状態って考えでいいかもしれないね!

社会的交流

次に“社会的交流”のカテゴリーに当てはまる各評価項目についてですが、、、

・社交(SIP)
・コミュニケーション(SIP)
・社会的孤立(NHP)
・社会生活機能(SF-36)
いかに社会から孤立しないかどうか、ってことになるでしょうね!
コミュニケーションをどこに振り分けるか、って考えたけど、
あくまで社会生活を成立させるための手段、と考えるとこの「社会的交流」のカテゴリーなのかなって思うんだ!

経済的、職業的状態

経済的、職業的状態に当てはまる項目についてですが、、、

・仕事(SIP)
・家庭管理(SIP)
・日常役割機能(身体・精神)(SF-36)
なんか一気に少なくなったような…(笑)
いろんな理由が考えられるけど、
QOLの評価方法がつくられた時代はまだICFでいう「参加」はそこまで注目されていなかった、、、ってことかもしれないね。
そうなると逆に身体、精神機能それぞれで「役割」の項目があるSF-36は非常に「今っぽい」QOL評価法ともいえるかもしれませんね!

宗教的、霊的状態

宗教的、霊的状態に当てはまる評価項目ですが、、、

・エネルギーレベル(NHP)
宗教的、霊的状態…スピリチュアルってことでしょうかね?
信仰や信条…のようなことになるんだろうけど、日本ではあまり馴染みがない分野な気がするね。
ただこのスピリチュアルな部分って案外侮ってはいけない分野なんだけどね~

まとめ

今回は曖昧に使用していたQOLという言葉の持つ意味やその概念、定義といったものを4つのQOL評価方法の対象項目から拾い上げて改めて考えてみました。
前述したように各評価方法が「痛み」の項目を重要視していることからも、QOLの向上のための大前提としては「痛みの緩和」が作業療法士の課題としてあげられるのかもしれません。

身体的でも精神的でも、クライアント自身を“侵害するもの”を取り除き、そこから社会参加や役割の獲得といったものへつなげていく…という流れが一つのセオリーなのかもしれませんね!

作業療法士は語りたい!

たしかに痛みがあったら社会参加もへったくれもないでしょうね(泣)
そのクライアントの課題がどの領域からスタートするのか?って話になるだろうけど、
身体的な痛みがあったら、精神的にも摩耗してしまうは明らかだからね。

【関連記事】
健康関連QOLの4つの評価方法と各領域項目について

【参考記事】
総論-QOL の概念と QOL 研究の重要性

 

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
現在彼氏募集中。
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