キャリア

今後の作業療法士にはもっとマネジメント能力が必要ではないでしょうか?

 

作業療法士は一般的には医療サービスを提供する「セラピスト」という役割です。
でも今後の作業療法士は自分たちの知識、技術を広く社会に還元し、働き方を変える…ワークシフトするためには「セラピスト」に異なった視点や能力を掛け合わせる必要があると考えます。
その代表的な能力の一つに「マネジメント能力」があげられると思います。

そもそもマネジメント能力とは?



一概に“マネジメント”といってもその対象は様々ですが、「ヒト」「モノ」「カネ」「ジョウホウ」の4つが大枠としてあげられます。
一般的に言えば、会社や組織、社員や経営にかかる予算や収支…事業におけるリスクなんかもあげられます。
最近特に見直されているのでは、時間管理なんかもマネジメントの対象になっています。

これらの対象に対して行うマネジメントの役割はどのようなものか?ですが、
少し前に流行した「もしドラ」で注目されたドラッカー氏によると、

マネジメントとは、組織をして成果を上げさせるための道具、機能、機関

…だそうです。

これでもなんだかいまいちピンときません。

もう少し調べていったらこんな文言が!

マネジメントとは、目標、目的を達成するために必要な要素を分析し、成功するために手を打つこと

…お、これならなんだかしっくりきます。

つまりは、

なにかしらの目標(目的)達成のために必要な物事を分析し、プロセス化すること
って解釈で概ね間違ってはいないと思います。

作業療法士に必要なマネジメント能力とは?



ではこの「マネジメント」を作業療法士に必要な能力として当てはめて考えてみます。

まず作業療法士がマネジメントを考える場合、「生活行為向上マネジメント(MTDLP)」が浮かぶと思います。

このMTDLPの詳細については別の機会にまとめますが、この場合は

クライアントの生活を向上させるためのマネジメント
と捉えることができます。

この“クライアント”の捉え方によって働き方が変わる?

ちなみにこの“クライアント”をどのような枠組みで捉えるかによって、作業療法士が支援する対象は変化していきます。
その結果作業療法士のワークシフトにもつながると考えています。

例えば、

・病院勤務の作業療法士にとっては、クライアント=患者
・施設勤務の作業療法士にとっては、クライアント=利用者
となります。

でもこのクライアントはあくまで「医療」「福祉」領域での対象であって、その領域の外側へ視点を向ける事で、作業療法士が支援できる対象はもっと増えていくことがわかります。
「障害者」という枠組みではなく、「○○しづらさ持っている人」と捉えると、意外と自身がもっている知識、技術が医療や福祉現場以外の分野で活躍できることにも気づかされます。
これって地域リハの発想になるんだと思うんです。

作業療法士に必要なマネジメント能力を構成する要素について

作業療法士のマネジメント能力の話に戻りますが、具体的には以下のような要素で構成されていると考えられます。

①クライアントの課題抽出とそれに対して目標、戦略を考え設定する能力
②設定した目標と作業療法プログラムの進捗を管理する能力
③クライアントの強み、弱みを見極め、現段階の状況を把握する能力
④クライアントの生活能力を最大限に引き出す能力
⑤俯瞰的な視点、分析力と判断力
⑥セラピストとしての専門的な能力

①クライアントの課題抽出とそれに対して目標、戦略を考え設定する能力

そのクライアントが抱える課題を明確にしたうえで目標を立てる必要があります。
またその目標に対しての戦略…つまり作業療法プログラムを設定するにも、クライアント側がきちんとその真意を理解できるものでないといけません。
「どうしてこのプログラムが必要か」という理由も共有することで、作業療法士側が押し付けるような戦略ではなくなるはずです。

②設定した目標と作業療法プログラムの進捗を管理する能力

大抵の場合そのクライアントと関わる期間は限定的なものであることが多いと思います。
そうなると設定した目標や提供している作業療法プログラムに対しての現状はどうなっているのかをしっかり把握し、分析する能力も必要になってきます。
決められた期間内で上手く目標達成できるような作業療法プログラムを組み替えていく管理能力が重要になってくるんでしょうね。

③クライアントの強み、弱みを見極め、現段階の状況を把握する能力

医療者はどうしてもクライアントの障害…つまり“弱み”ばかり目につきがちです。
しかしクライアントにとっては残存能力…つまり“強み”も残されています。
生活の質、生活能力の向上を図るためにはこの強みの部分にも注目し、どう活かすかという発想が作業療法士にとっては必要だと思います。

④クライアントの生活能力を最大限に引き出す能力

クライアントの残存能力である“強み”に注目をする重要性は作業療法士のマネジメントスキルの一要素ではありますが、
その能力をクライアント自身に気づかせ、最大限に引き出すという“コーチング”的な能力も必要になってきます。
クライアント自身が生活の質を向上させることに意欲的、自主的になるような関わり方も重要な要素の一つと言えます。

⑤俯瞰的な視点、分析力と判断力

作業療法士は、身体機能だけをみればよいのではなく「どうしたら生活の質が向上するか?」というトップダウン的な視点が必要です。
そのためには抽出した課題を俯瞰的な視点で把握し、しっかりと分析していく必要があります。
加えて作業療法士という医療者側からの視点だけでなく、クライアントの家族や地域からの視点、時には社会環境全体を考えるような意識も必要な場面があります。
作業療法士はクライアントにとっては医療サイドと社会生活サイドの橋渡しをするような立ち位置にいる…といったイメージを持つとよいのかもしれませんね。

⑥セラピストとしての専門的な能力

もちろん作業療法士としての専門性も重要視しないといけません。
生活を構成する様々な作業を軸に、課題抽出、課題解決をしていくという発想は作業療法士の強みですので、この部分は大事にする必要があります。
ただ注意するべきは「目的と手段を取り違えてしまうこと」だと思います。
自分の介入はあくまでクライアントの生活の質を向上させるための手段であることを忘れないようにしないといけません。

まとめ

作業療法士にとって必要な能力ってなんだろうな、と思いその一つにマネジメント能力があげられると感じ今回のような記事を執筆しました。
ごく当たり前のようにやっていることでも、改めて言語化することで視点が変わってくるかと思います。
MTDLP(生活行為向上マネジメント)は作業療法士のマネジメント能力の一つとして代表的ではありますが、もっと包括的な視点が必要なんじゃないかなーって思います。

作業療法士は語りたい!

作業療法士はその職業的な特徴からもマネジメント能力に長けている人が多いような印象を受けるよ!
そうなると組織のマネジメントって枠組みでは、リーダーシップを発揮できそうですよね!
ボトムアップアプローチではなくトップダウンアプローチを軸にしているという点でも
マネジメント能力、リーダーシップ、そして作業療法は密接な関係なのかもしれないね!
 

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
現在彼氏募集中。
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