職業的発達段階の課題それぞれに、産業作業療法士は関われるのでは?って話。

働きにくさをリハビリし、働くことを支援する『産業作業療法研究会』を立ち上げて2ヶ月ですが、改めて『働き方×作業療法』のポテンシャルの高さを感じています。
今回は『職業的発達段階』のステージ毎の課題それぞれに、この産業作業療法士が関わること、支援することができるんじゃないかと思い、提案も兼ねてまとめてみました!

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職業的発達段階について



“Super”は1957年に人の職業的発達は自己(自我)概念(self-concept)の形成であるとし、“Bushler”や“Ginzberg”の自我意識の発達の研究を基に、人の職業生活を以下のような段階分けしています。
A.成長段階
B.探索段階
C.確立段階
D.維持段階
E.下降段階

そしてその後Jordanと共に児童期から成人期に至るまでの職業的発達段階、職業的発達課題を改訂し、新たに設定しています。

A.成長段階(児童期・青年前期:0~15歳)



自分がどういう人間であるかについてイメージを形作り知っていく段階がこの“成長段階”にあたります。
「大きくなったら何になりたい?」という質問によって仕事の世界に対する方向付けを発展させ、働くことの意味を理解する時期にもなります。

その為の具体的な場面としては、児童期では「○○ごっこ遊び」を通して、学校での「○○係」「○○委員」といった“役割実演”や余暇、その他の活動への参加を通して学んでいく機会が多くあります。
この機会で自分が何を何をうまくやれるか、何を好むか、どんな点で他の人と違うかということを学んでいく重要な時期と言えます。

B.探索段階(青年期と成人前期:15歳~24歳)



青年期と成人前期この探索段階はさらに3段階に分けられます。

①暫定的な時期(青年前期・中期)

職業についての希望を結晶化していく時期。
自分に適当だと思う仕事の分野と水準が見分けられる段階になります。
自分の欲求や興味、能力、価値観などから“試し”の職業選択をする時期に位置します。

②移行的な時期(青年後期・成人前期)

職業についての希望を特定化していく時期。
学校を経て専門訓練や労働市場に入り、自己概念の充実を図ろうとする段階になります。
おおまかな予想を1つの選択へと絞っていく時期に位置します。

③実践試行的な時期(成人前期)

職業への希望を実現していく時期。
自分に適すると思われる職業がつきとめられ、それに対して準備をし、初歩的な職務が遂行され、ライフワークとできるかどうかが試みられる段階になります。
そしてそれが生涯にわたる自分の職業となるかどうかを考えます。
ただし、この職業に対する実践はまだ準備的なもので、職務上または訓練の中で遭遇する経験によって強まったり弱まったりもします。
もし弱まった場合は他の分野を考えるようになり、再度その速行に対する方向付けを行っていき、実現していくプロセスを繰り返していきます。

C.確立段階(成人前期から中期:25~44歳



この確立段階はさらに2段階に分けられます。

①実践試行の時期(成人前期から30歳頃まで)

この時期は実際に就いた職業に満足できなかったり、あるいは深い自己吟味をせずに転職したりする時期に位置します。
必用な技術、訓練、仕事の経験を得たので自分をその職業に託し、そのなかで自分の場所を確立しようとする。
その後起こる変化は同じ職業の中での地位、職務、雇用上の変化となる。

②昇進・飛躍の時期(30歳代~40歳代中期)

経験を積み、後輩や部下ができ、また能力を高めることによってその地位を確かなものにしていく時期に位置します。
役割遂行と自己吟味の結果、適切な分野を見出し、職業生活の安定と地位の確保のための努力がなされる段階でもあります。
職業人生において、最も創造的と言われている時期でもあります。

D.維持段階(40歳半ば~定年退職)



職業の持続、それに付随する社会的地位や自己表現の場の維持などに努力する時期に位置します。
若年期は競争が激しく、新奇な発想が豊富なのに比べて、この時期は現状の地位を保持していくことに注力されていく段階とも言えます。

E.下降段階(退職後:65歳~)



定年退職した後、再就職した人も職業生活から一歩退く時期に位置します。
70歳になるとほとんどの人は離職し、職業上の役割をなくす段階になります。
そしてここからは人によっては地域活動での役割や、孫の面倒・家事などの家庭での役割など毎日の仕事を持つこともあります。

離職・転職を職業的発達段階でみてみた!



上記のように職業的発達段階のプロセスをみてみると、一般的にある“離職”や“転職”への欲求は極自然な流れな印象を受けます。

小さい時は「将来○○になるんだ!」という大きな夢があり、その後自分の能力や環境によって多少の変化…より現実的なものへ変化し、一度はその職業に就くもそこでの働き方に疑問を持ち、離職や転職という選択肢を選ぶ…。
もちろんこのサイクルは人によって違いはありますし、できるだけ早く『維持段階』に到達できれば安定もするのでしょうが、いつまでも「自分の転職はこれではない!」といって『確立段階の実践試行の時期』で留まったままでは、
就職→転職を繰り返していくだけになってしまいます。

こうなるといつまでも「本当の自分探し」になってしまい、ただただ苦しいだけでなく、社会的地位の低下、経済的生活の質の低下に繋がっていってしまうリスクがあります。

退職後の役割を職業的発達段階でみる



職業的発達段階における『下降段階』では、『退職』という職業上の役割を失うライフイベントを経験し、役割を“地域”や“家庭内”に位置づけようとします。
多くの女性の場合もともと前段階から“地域”や“家庭”での役割が大なり小なりあったため、この職業上の役割から地域・家庭内への役割の移行期においては柔軟に自分を位置づけることができますが、「仕事一筋!」だった男性にとっては難しい場合が多いのかもしれません。
退職後、何もすることなく、何も役割もなく家でボーっとしている…なんて場合の多くのこの状態になっているのだと考えられます。

産業作業療法は各職業的発達段階の課題に関われる?


働きにくさをリハビリし、働き方を支援する産業作業療法士にとって、この各職業的発達段階の課題に対して関わることは可能なんだと思います。

『A.成長段階』『B.探索段階』に対しては、「働くこと」、「自分にぴったりの仕事の見つけ方」なんてテーマで学校教育に関わることができますし、
『C.確立段階』に対しては、「働き方」の支援、各個人の価値観に合わせた「ワークライフバランス」や「ワークアズライフ」を利用した支援、「自分の強みの再開発」などに関わることができると思います。

『D.維持段階』になると、前期は自身の知識やキャリア資源をどのように広めるか、どのように後に続く後輩や部下といった若い人に伝えるか?という部分への支援ができるかなと思います。
後期になればいずれ来る『E.下降段階』への準備、退職後の「燃え尽き」予防や新たな役割開発などの支援ができるのかと考えられます。

どの段階においても、「働くこと」という軸で産業作業療法士は支援をすることができるはずです。

まとめ

職業生活においての発達段階ということで、今回はSuperやJordanによる職業的発達段階、職業的発達課題を基礎にまとめてみました。
またその各職業的発達段階のステージ毎の課題に対して、働き方を支援する産業作業療法士として何ができるのかについても、私見ですが触れてみました。
こうしてまとめてみると、改めて世の中の「働き方」における課題解決に、作業療法士が関わることが今後必要になってくると思うんですよね!

産業作業療法士は語りたい!

職業的発達段階のステージ毎の課題それぞれに、「生活をリハビリする」作業療法士が関わることができる…って流れは非常にナチュラルな気がしますけどね。
『作業療法=医療』って枠組みだけではどうしても“もったいない”と思うし、産業作業療法に至っては、
そのフィールドはあくまで「地域生活」でもあるから、医療よりは社会的な役割を担う部分が多いと思うんだよね!
その意味では『病院外で活躍する作業療法士』のロールモデルの一つになれればいいなと思うんだよね!
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