会話困難で検査できない?観察で可能な認知症検査について!

認知症の方への評価スケールやスクリーニング検査としてはHDS-RやMMSEなどが代表としてあげられますが、これらの検査はあくまで「会話のやり取りが可能」なことが前提になっています。
コミュニケーション能力が著しく低下してしまった認知症の方の場合にはHDS-RもMMSEも適応ではなくなってしまうんですよね。
そこで今回はコミュニケーションの能力の程度を問わず、観察によってできる認知症の検査についてまとめてみました。

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FAST

FAST(Functional Assessment Staging)は、アルツハイマー型認知症の進行度についての病状ステージを、ADL障害の程度によって分類した世界的にもよく使用されている観察式の評価尺度です。
ステージ1~7までの7段階に分類されています。
このFASTを用いることでクライアントの認知症の進行度や、今後予想される症状について説明することが可能になります。

ステージ 臨床診断 特徴
1 正常成人 主観的にも客観的にも機能低下は認められない
2 正常老化 物の置き忘れや物忘れが起こる
3 境界領域 職業においての複雑な仕事ができない。新しい場所への旅行が困難
4 軽度 金銭の管理、買い物など日常生活での仕事にも支障をきたす
5 中等度 TPOに合わせた適切な洋服を選んで着ることができない。着替えや入浴を嫌がることがある。
6a やや高度 一人で服を正しい順に着ることができない。
6b 入浴:介助が必要、入浴を嫌がる。
6c トイレの水の流し忘れ、拭き忘れ。
6d 尿失禁
6e 便失禁など
7a 重度 語彙が6個以下に低下。
7b 「はい」などただ一つの単語しか理解できない
7c 歩行ができない
7d 座位保持ができない
7e 笑顔がない
7f 頭部の固定が困難、意識消失(昏迷、昏睡)に陥る

OLD

OLD(Observation List for early signs of Dementia)はオランダでかかりつけ医のために作成されたスケールになります。
クライアントの日常生活の状態をよく知っている人からの情報で実施することができます。

項目 症状
記憶・忘れっぽさ ①いつも日にちを忘れている
②少し前のことをしばしば忘れる
③最近聞いた話を繰り返すことができない
語彙・会話内容の繰り返し ④同じことを言うことがしばしばある
⑤いつも同じ話を繰り返す
会話の組み立て能力と文脈理解 ⑥特定の単語や言葉が出てこない
⑦話の脈絡をすぐに失う
⑧質問を理解していないことが答えからわかる
⑨会話を理解することがかなり困難
見当識障害・作話・依存など ⑩時間の概念がない
⑪話のつじつまをあわせようとする
⑫家族に依存する様子がある

OLDのカットオフ値についてですが、12項目のうち4項目以上が明らかにあれば認知症を疑うことになります。
ただし、チェックされた数の多い少ないにこだわらず、OLDの項目を意識してクライアントを観察することで認知症の早期発見につなげていくことがOTをはじめそのクライアントに関わる医療、福祉従事者には求められています。

DAD

DAD(Disability Assessment for Dementia)は在宅生活を送っているアルツハイマー型認知症で運動機能障害のない方を対象としており、クライアントの家族といった介護者に対してインタビューを実施しADLをアセスメントするスケールになります。
DADの特徴としてはクライアントの「できること/できないこと」とは異なり,過去2週間以内に「したか/しなかったか」をアセスメントする評価スケールという点があげられます。

評価項目の領域としては

・衛生
・着衣
・排泄
・摂食
・食事の用意
・電話の使用
・外出
・金銭管理
・服薬
・余暇、家事
からなっており、40の質問項目によって構成されています。

ただしこれらの評価項目は、クライアントの性差や文化的な習慣によって適応ではない項目になる場合もあるので、クライアントの生涯行ったことのないような項目(いままで一度も料理をしたことがない男性etc)は除外したうえで
評価し、残った項目の得点を分母にしてそのパーセンテージを算出する方法になります。

CDR

Clinical Dementia Rating(CDR)は言語機能の低下などによってクライアントの協力が得られない場合でも臨床症状を全体的に評価し、重症度を判定します。
クライアントの情報を本人の日常生活を十分に理解している家族や介護者からあらかじめ聴取しておくことになりますが、その項目としては、

・記憶について
・見当識について
・問題解決と判断について
・社会適応について
・家庭生活と趣味・関心について
・介護状況について
の6項目を5段階で評価します。

まとめ

認知症のクライアントでもその症状の程度によってはコミュニケーションが図りにくかったり、評価自体に非協力的だったりする場合があります。
そういったときは観察や介護者からの聴取のみで可能なこれらの検査を使用すると、その認知症の程度やグレードの判別に役立たせることができます。
ただ、HDS-RやMMSE同様、認知症の程度を把握する目的は現状の把握から、課題の抽出、今後の予後予測と予防対処につなげていく必要があります。
検査はあくまで認知症であるクライアントへの支援のスタート段階でしかないので、「そこからどのように介入していくか?」を作業療法士として考えていく必要があります。

作業療法士は語りたい!

認知症の観察による検査って結構“介護者”を聴取対象とするものも多いですね!
クライアント本人の返答能力が低いことからの代替手段なんだろうけど、
逆に言えば、敢えて積極的にこれらの検査を介護者に行うことで、介護上の問題点を抽出するのにも役立つかもしれないね!
OLDなんかはアルツハイマー認知症が今後どのような症状を辿るのかの説明にも使用できそうですよね!
家族といった介護者にとっては、認知症の症状進行については事前に知っておく「フィードフォワード」の手法を取ることで、
心構えにもつながるし、その症状が顕在化したときにも適切な対処ができるようになるからね!
介護者も認知症クライアントにとっては昼用不可欠な人的環境ですからね!

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