NIHSSによる脳卒中評価の方法とカットオフ値について!

脳卒中の急性期において、クライアントの病態を把握するためには非常にスピードと効率さが求められます。
そこで今回はNational Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)についてその各項目の評価方法やカットオフ値についてまとめてみました!

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NIHSSとは

NIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)は、脳梗塞関連の兆候の重症度を特定し、脳卒中後の症状の定量的測定に使用される評価方法です。
急性期の入院直後に迅速に実施できる点からも、世界中で使用されています。

NIHSSの目的

NIHSSの目的としては、より迅速な脳卒中発症直後の急性期に位置するクライアントの病態把握といえます。

NIHSSの実施時間

NIHSSを使用した複数の調査結果からの平均実施時間としては、6.6分のようです。
急性期においての病態把握の評価方法ですから、迅速さが求められますね!

NIHSSの評価項目

NIHSSは以下の15項目に分けられています。

①患者の反応(意識障害)
②質問への返答(意識障害)
③命令に従う(意識障害)
④最良の注視
⑤視野
⑥顔面神経麻痺
⑦右側上肢の運動
⑧左側上肢の運動
⑨右側下肢の運動
⑩左側下肢の運動
⑪運動失調
⑫感覚
⑬最良の言語
⑭構音障害
⑮消去現象と注意障害(無視)

①意識水準

最初にクライアントを観察し“①意識水準”を判断することから始めます。
配点は以下のとおりになります。

0:完全覚醒
1:簡単な刺激で覚醒
2:繰り返し刺激、強い刺激で覚醒
3:完全に無反応
※ 痛み刺激に対し、反射以外の姿勢を示さないときにのみ3点とする。

②意識障害-質問(今月の月名および年齢)

その後“②意識障害”の評価として今月の月明とクライアント自身の年齢の質問を行います。
もちろん質問に対してはヒントなしで正解することが求められます。

0:両方正解
1:片方正解
2:両方不正解

昏迷状態や失語症で評価不能な場合は2点を与えます。
また、気管内挿管・口腔外傷・強度の構音障害などで評価不能の場合は1点を与えます。

③意識障害-従命(開閉眼:手を握る・開く)

初めに“開閉眼”、そしてその後“手を握る・開く”を命じます。

0:両方可
1:片方可
2:両方不可

手が使用できない場合は、“手を握る・開く”の動作命令にこだわらず、他の1段階命令に置き換えてもよいようです。
昏睡状態などにより評価不能の場合は2点になります。
励ましたり、指導したりしてはいけませんし、失語症などにより言語理解が困難な場合はジェスチャーで命令しても問題ありません。

④最良の注視(眼球の水平運動)

眼球の水平運動で評価します。

0:正常
1:部分的注視麻痺
2:完全注視麻痺

この検査項目を実施する前に、左右の自発運動(追視でも可)がないかどうか確認する必要があります。
反応がない場合には“人形の目減少”の有無を頭を左右に動かして眼球の動きを確認します。

⑤視野

視野に関しての評価は、クライアントの片目を隠し、上下 1/4(右上・右下・左上・左下)を対座法で評価します。
その際検者の指を動かしたり、本数を答えてもらうなどして確認します。

0:視野欠損なし
1:部分的半盲
2:完全半盲
3:両側性半盲

意識障害がなく開眼していれば4方向から眼球をつつくような動作を行い反応をみます。
昏睡状態の場合、全盲の場合は評価不能ということで3点になります。

⑥顔面麻痺

口頭もしくはジェスチャーで“歯を見せる”、“笑う動作”を命令し反応をみます。
その後額にシワをよせる動作、目を大きく開く動作や上方を注視する動作を命令し反応を評価します。

0:正常
1:軽度の麻痺
2:部分的麻痺
3:完全麻痺

昏睡状態などで実施不可、末梢性顔面神経麻痺の場合は3点になります。

⑦⑧上肢の運動(左右)

座位の場合は90度、仰臥位の場合は45度挙上させるように命令します。
また手のひらを下側に向け、検者がカウントを取りながら片側ずつ行います。

0:45度を10秒間保持可能(下垂なし)
1:45度を保持できるが10秒以内に下垂
2:45度の挙上または保持ができない
3:重力に抗して動かない
4:全く動きがみられない
N:切断、関節癒合

覚醒していない場合は、軽い痛みを与え、自力で腕を動かせるか確認します。

⑨⑩下肢の運動(左右)

仰臥位で評価する場合、30度で評価します。
非麻痺側下肢より片側ずつカウントを取りながら行います。

0:30度を5秒間保持できる。(下垂なし)
1:30度を保持できるが5秒以内に下垂
2:重力に抗して動きがみられる
3:重力に抗して動かない
4:全く動きがみられない
N:切断、関節癒合

昏睡状態で覚醒していない場合は、軽い痛みを与え自力で腕を動かせるか確認します。

⑪運動失調

鼻指試験,膝踵試験で両側検査します。

0:なし
1:1肢
2:2肢
N.切断、関節癒合

⑫感覚(pin prickテスト)

知覚または検査時の痛みに対するしかめ面などで評価を行いますので、意識障害や失語症の場合でも痛み刺激からの逃避反応によって評価することができます。
またこの逃避反応だけでなく、左右差についても評価します。

0:障害なし
1:軽度〜中等度障害
2:重度〜感覚脱失

針刺激を与える場合には“つまようじ”を使用します。
半側感覚障害を正確に調べるためにも、出来るだけ多くの部位(前腕・下肢・体幹・顔面)を検査する必要があります。

⑬最良の言語

ここでは、 絵カード・呼称カード・文章カードを用いて行います。
絵カードでは起こっていることを尋ね,呼称カードでは中の物の名前を言わせ,文章カードにおいては書いてある文章を読ませます。

0:正常
1:軽度〜中等度の失語
2:高度の失語
3:無言・全失語

視覚障害がある場合は、手の中におかれた物品の同定・復唱・発語を命じます。
また器官内挿管で発語できない場合は書字で評価します。

⑭構音障害

前出のカードの音読や単語の復唱で評価を行います。
注意点ですが、事前に言語の評価を行うということを伝えてはいけません。

0:正常
1:軽度〜中等度
2:高度
N:挿管または身体的障壁
クライアントが失語症の場合は、自発語の構音の明瞭さで評価します。

⑮消去/無視

“視覚”・“触覚”・“聴覚”・“視空間”・“自己身体不注意”などで評価を行います。

0:なし
1:軽度〜中等度
2:高度

半側空間無視の症状がある場合は、体性感覚による2点同時刺激(閉眼にて実施)を利用します。
また、失語症であっても両側に注意を向ける仕草がある場合は正常とします。

NIHSSのカットオフ値

NIHSSの合計点数42点のうち、歩行自立におけるカットオフ値は≦9との報告がありました。

NIHSSの注意点

比較的短時間で簡単に実施できるNIHSSですが、以下のような注意点があげられます。

①必ず項目リストの順に施行すること
②各項目の検査を行った直後に結果を記載すること。また評価の変更はしないこと。
③評価は,「このくらいならできるだろう」といた推測による記載をしないこと
④指示されている部位以外でクライアントを誘導しないこと
⑤各項目の検査が実施できなかった場合は,その理由を記載しておくこと
⑤合計点数は42点だが、最重症の場合は失調が評価できないため最重症40点となること

まとめ

急性期において脳卒中のクライアントの病態把握には非常に迅速さが求められます。
そのためにはNIHSSのように各検査項目を一連の流れにまとめ、パッケージングした検査を実施することがより効率化のためには必要なのかもしれませんね!

作業療法士は語りたい!

このNIHSSのようなパッケージングされた検査方法だけど、
これは作業療法の他の臨床や現場でも必要な発想だと思うんだよね!
各病態やADL動作などの評価において、評価項目や流れをパッケージング化すれば、
キャリアや経験の有無に関わらず、最低ラインの評価のクオリティは確保できますからね!

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