社会参加

『全盲少年に任天堂、神対応』のニュースから障害受容の為の4つの背景を考える

 

数日前のネットのニュースにOTとしては興味深い記事がありました。
大手の企業の対応がすばらしいだけでなく、このニュースからは「障害受容」や「社会参加」といったものを始めいろいろと学ぶものがあったのです。

全盲少年に任天堂「神対応」というニュース

全盲の長男が任天堂に手紙を送ったら、返事がきた。そんな投稿がTwitter上で話題になっています。
引用:Yahooニュース

ニュース記事を読むと、1歳半のときに“両眼性網膜芽細胞腫”という眼球のがんを発症し、その結果両眼の摘出手術をし全盲になった少年(響希くん)が、
ドラムを始め、任天堂の「リズム天国」というドラムゲームにものめり込み、その感謝の手紙を任天堂に送った…ということのようです。

点字で書かれた手紙に、任天堂側も丁寧なお礼状を返信した…ということでこの「神対応」が話題になりました。


「障害」とはなにかを改めて考える

この少年の場合、確かに全盲で日常生活を送るには「不便」かもしれません。
でも、これは決して「不幸」と同義ではないということを改めて考えさせられました。

この響希くんのお父さんは以下のように語っています。

「両眼摘出手術を受けた約8年前はつらくて涙する日々でしたが、響希の前向きに生きようとする生命力が私たち一家に光を届けてくれました。4歳でドラムを始めてからは父である僕の方が教えられることばかりです」

「障害=不幸・大変みたいに思われがちですが、障害があっても不幸ではなく、障害に負ける心が不幸なんだと響希が教えてくれてます。全盲という宿命を使命に変えて、世界に勇気と希望を届けられるドラマーになると大きな目標を持って毎日頑張ってくれています」

もちろん本人だけでなく、家族もこういう風に「障害」を受容的に考えられることも素晴らしいことだと思います。

障害を需要的に考えられる背景を考える

響希くんのケースを始め、障害を持っていてもそれを受容し、前向きに捉える背景はどんなものなのか?考えてみました。

①家族、周囲のサポートが充実している

なにより家族や周囲のサポート体制が充実していることが、この響希くんの最大の「メリット」としてあげられます。
ご両親がとても響希くんのドラム活動に熱心であること、家族関係が非常に良好であることなど周囲のサポート環境が強固なことは非常に強みとも言えます。

②発想の変換、柔軟性がある

「全盲となった当時、おもちゃで遊ぶことすらできずにいました。なので自宅の壁や床などを叩いて音を楽しむしかなかったんです」
「そして、近所に住む友人宅にドラムがあることを思い出し、3歳のときに試しに叩かせてもらったところ、響希が迫力のある音に凄く感激し、ドラムを叩きたいと訴えてくるようになりました」

このインタビューでのお父さんの言葉から、「全盲のため自宅の壁や床を叩いて音を楽しむ“しか”できない」というデメリットとして扱われるような問題を、「ドラムを叩く」という“作業活動”につなげることで有益な活動に昇華する発想の変換が非常に柔軟性があるように感じました。
この変換も、響希くんのお父さん自身もバンドマンで音楽に長けていた…というのも非常に影響がありそうです。

③社会参加の機会が充実している


この響希くんのドラム活動を単なる自宅で行う趣味だけでなく、Youtubeにドラム演奏動画を投稿したり、チャリティーイベントで演奏出演したりとしっかりと「社会参加」につなげられている点、その機会が充実していることも全盲を受容できた背景にあると考えれます。
また今回の「任天堂」への手紙をきっかけにネットのニュースで取り上げられ、この響希くんとご両親の活動を多くの人が知ったことも重要な「社会参加」の一つとも言えます。

④目標が明確




最後に「ドラマーになる!」という明確な目標があることが何より重要と考えます。
作業療法士としてクライアントに関わる際にも、そのアプローチとして基本にあるのは「どのような暮らしをしたいか?」から必要なことを探っていくトップダウンの方法です。
響希くんのように「ドラマーになる」という目標が明確だからこそ、今やるべきことがしっかりと見え、そのために必要な環境や資源の提供が周囲もスムーズに可能になる…ということです。

まとめ

この『全盲少年に任天堂「神対応」』というニュースを、単純な美談として終わらせてしまうのはちょっともったいないな、という点。
任天堂の対応のすばらしさももちろんですが、OTとしてはこの響希くんとご両親のここまでの経緯からとても学ぶことがあったので今回記事にしてみました。
ぜひ、ドラマーとして活躍できるようにさらにがんばってもらいたいですね!

作業療法士は語りたい!

もちろんここまで受容的になり、活動することができるようになるまでには、
本人も家族もすごい悩んだし苦しんだと思うんだよね。
「「障害受容」の一言で片づけてしまうのは簡単ですが、
「きっかけや考え方、与えられる環境の違いで「障害」が本当に「害」になるか変わってきますね。
それこそ最近の「障がい」って表現する傾向も頷けるね!

 

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
現在彼氏募集中。
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