“ナチュラルサポート”は息の長い支援をするために必要な概念なんです。

障害者支援…特に障害を有する人の復職や就労支援といった職業リハビリの領域では、支援の形として“ナチュラルサポート”の重要性が謳われています。
でもこのナチュラルサポートの考え方って、決して職業リハビリの領域だけではなく、作業療法士をはじめとしたリハビリテーションでも共通する部分があるんです。
今回はこの“ナチュラルサポート”について考えてみます。

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ナチュラルサポートとは

ナチュラルサポートの定義については

ナチュラルサポートとは、障害のある人が働いている職場の一般従業員(上司や同僚など)が、職場内において(通勤は含む)、障害のある人が働き続けるために必要なさまざまな援助を、自然もしくは計画的に提供することを意味する。これには職務遂行に関わる援助の他に、昼食や休憩時間の社会的行動に関する援助、対人関係の調整なども含まれる。
引用:小川(2000)

とあります。

ナチュラルサポートは共通認識が重要

つまり、障害を有する人が活躍する職場においては、周囲も特に「支援」と意識しないような、ごく日常的な理解や助け合い、さらには環境や制度が必要という解釈になります。
この職場の同僚や上司、さらには家族やパートナーも含んだ周囲の人たちの間では、「どのような配慮を行えば障害を有する人を助けることができるか」と、「どのような配慮がないと問題が生じるか」ということを“共通認識化”することが重要とされています。
この共通認識はその職場環境や時期、構成するメンバーによって変動していくので、現場で作られていくものになりますが、そこに介入する専門職の一つとして「ジョブコーチ」があげられます。

ナチュラルサポートはジョブコーチモデルの問題点解決のための概念

実は、このナチュラルサポートはもともとジョブコーチによる支援モデル(ジョブコーチモデル)の問題点を検討する中からでてきた概念といわれています。

その問題点としては、

①ジョブコーチが職場に入ることで障害を有する人、事業所からの依存が発生すること
②ジョブコーチによる職場への適応のための技法(システマティック・インストラクションetc)は企業の一般職員には馴染がなく、かえって「障害」を際立たせてしまう結果になる
③長期間の1対1の支援ではコストがかかりすぎる
の3つを、ナチュラルサポートの提唱者であるNisbet & Hagner(1988)はあげています。

ナチュラルサポートは長く支援するためにも必要な概念

つまり、ジョブコーチという専門職が職場適応に必要な行動のすべてを指導し続けるというのは、技術的にも制度的にも非常に難しくなります。
またノーマライゼーションや社会統合といった理念の観点からも問題視されてしまいます。
この問題を打破するためにも、職場の上司や同僚といった「人的環境」の支援参加が必要になってくるので、その結果ナチュラルサポートという考え方は非常に重要になります。

これは作業療法も同じでは?

このナチュラルサポートの必要性が謳われるようになってきた経緯や背景をみると、作業療法におけるリハビリテーションにも同じことが言えます。
それが身体領域であれ、精神領域であれ、病院でのリハであれ、老健でのリハであれ、「OTがいないと対象者がリハビリできず、健康生活を維持できない」という状態は前述した問題点と合致してきます。
ナチュラルサポート=職業リハの課題ではなく、俯瞰的な目で見ればリハビリも含む「障害者支援」にも通じることと言えます。

まとめ

障害を有する人に対しての息の長い支援を行うためには、専門職のみでは限界があるということがわかりました。
ナチュラルサポートの発想で言えば、支援する対象である障害を有する人の周囲にもジョブコーチやOTといった専門職…まではいかなくてもその考え方や接し方の一端を担えるような関わり方が必要だと言えます。
個人的な発想ですが、このナチュラルサポートを実現するためにも“障害を有する人本人を中心に、支援するレベルの濃度別の人的環境配備をする必要性がある”…と現段階で筆者は落とし込んでいます。

作業療法士は語りたい!

OTによるリハビリ提供もそうですけど、終了するタイミングって難しいですよね。
そのリハビリ、支援活動が「いつまで」なのか、「どこまで」なのかを提供する前に明確にしておかなきゃだし、
その区切りも共通認識化していないといけないからね。
ましてやただ「バツッ」と支援を切るのではなく、徐々にフェードアウトするような流れも必要でしょうね。
そういう点では、家族や周囲の人的環境に対しての指導力もOTは必要になってくるんだろうね!

【参考記事】
障害者に対する職場におけるサポート体制の構築過程