認知症検査であるMMSEの注意点とカットオフ値、実施方法についてまとめ!

認知症かどうかを判断するスクリーニング検査で“MMSE”があります。
今回はこのMMSEの注意点やカットオフ値、実施方法などについてまとめてみました!

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MMSEとは

MMSEは1975年にアメリカのフォルスタイン(Folstein)夫妻が入院患者用の認知障害測定を目的にした検査として開発されました。
11の質問項目で構成されており、その内容は見当識、記銘、注意、計算、想起、呼称、復唱、聴覚的理解、視覚的理解、書字、図形模写から成り立っています。

目的と対象

対象としては特定の疾患を問わない高齢者であり、MMSEの目的としては HDS-R同様認知症の簡易スクリーニング検査として使用されています。
MMSEによって認知症の中核症状である「記憶障害」と、周辺症状(BPSD)といった行動、心理症状の評価を行うことができます。

点数による診断について

30点満点で、

27~30点 正常域
22~26点 軽度認知症の疑い
21点以下 どちらかというと認知症の疑いが強い
※ 判定結果については上記と異なる診断をする場合もあるので、22~26点以の被験者が必ずしも認知症であるとは断言できません。

カットオフ値について

MMSEの開発者としてはカットオフ値を24/23に設定しています。
多くの論文でもこの値が信頼性が高いと触れているようです。

MMSEの質問内容

以下にMMSEそれぞれの質問内容についてまとめてみました!

日時見当識(5点)

・今年は何年ですか?
・今の季節は何ですか?
・今日は何曜日ですか?
・今日は何月何日ですか?

年、月、日、曜日、季節の5つについての質問になります。
入院中といった日常とかけ離れているような生活の状況下だと日時の間違いが起こることは考えられますが、西暦(年)や季節を間違えるとなると見当識の障害を疑うことになります。
ちなみに季節に関しての回答例で、「梅雨」や「初夏」「初冬」といった変わり目の表現は正解とします。

場所の見当識(5点)

・ここは何という病院ですか?
・ここは何県ですか?
・ここは何市ですか?
・ここは何階ですか?
・ここは何地方ですか?

今いる場所、県、市、階数、地方の5つについての質問になります。
もちろん施設での検査の場合は「病院」を「施設」に変えて質問します。

3つの言葉の記銘(3点)

「これから言う3つの言葉を言ってみて下さい。」
「桜・猫・電車」
「また後で聞きますのでよく覚えておいて下さい」

物品名を3つ(相互に無関係であること)聞かせ、それをそのまま復唱させます。
1つ答えられる度に1点加算になります
その後、「また後で聞きますのでよく覚えておいて下さい」と教示し、3つの単語が答えられるようになるまで繰り返します(ただし、6回繰り返しても覚えられない場合はそこで打ち切ります)

単語の即時再生であるこの課題は比較的認知機能が低下していても保たれる機能です。
ただし1度で3つすべて言えたかor繰り返す必要があったかによって解釈も変わってきます。

連続計算、逆唱(5点)

「100から7を引いた数を言ってください」
「それからまた7を引くといくつですか?」

100から順に7を引いていく計算問題ですが、5回連続で可能ならば5点になります。
計算を失敗したり答えがでない時点で打ち切りとします。

これは数字を扱う…計算能力と、その数字を記憶しておく能力が必要とされます。
加えて同時処理の能力も見る事ができます。

ちなみに、計算問題ができない場合は代替課題として「フジノヤマ」を逆唱させる、というのもあります。

3つの言葉の遅延再生(3点)

「先ほど(設問3)覚えてもらった3つの言葉をもう一度言ってみて下さい」

『つの言葉の記銘』の課題で示した単語を再度復唱させます(正答1つにつき1点/3点満点)。
特に答える順番は問いません。 

これによって短期記憶の能力をみることができます。

物品呼称(2点)

時計と鉛筆を順に見せて、
「これは何ですか?」

時計と鉛筆を順盤に見せて、その名称を答えさせる課題です。
それぞれ1点ずつの加算になります。

日常よく目にする馴染のある物品呼称の課題ですので、仮に他の課題を遂行することができてもこの課題ができないとなると「失語症」の疑いもでてきます。
既往歴や現在の症状といったものをチェックする必要が出てきます。

読字 復唱(1点)

「今から私が言う文章を繰り返して下さい」
「みんなで、力を合わせて綱を引きます」

やや長めの文章を覚えておけるかどうか…長文の即時再生能力をみる課題になります。

言語理解 口頭による3段階命令(3点)

「今から私の言うとおりにしてください。ただし、私が言い終わってから始めて下さい」

「右手にこの紙を持ってください」
「それを半分に折りたたんでください」
「それを私に渡してください」  

上記の3つの指示を口頭で伝え、3つすべて聞き終わってから実行に移すように促します。
仮に右麻痺などで右手の使用が難しい場合は左手に置き換えて指示します。

一度に3つの指示をし、それを覚えたうえで実行に移すので、認知機能の低下がある場合はすべての指示を一度で覚えれず途中で止まったり「あれ?次はどうするんでしたっけ?」というように迷ったりする場合があります。

文章理解 書字理解・指示(1点)

「この文を読んで、その指示どおりに従ってください」

『目を閉じなさい』

文章を読んで書いてあることを理解し実行に移す能力が問われます。
人によっては読むことはできるが実行できない、質問の意図が伝わらないなんて場合もみられます。

文章構成 自発書字(1点)

「ここに何か文章を書いてください。」

上記のように教示し、鉛筆と紙を渡し、文章を書いてもらいます。
どんな内容の文章でも構いませんが、単語のみでは語頭とみなします。
また特に主語や述語がなくても全体的に文章となっていれば問題ありません。

これによって文章の構成力をみることができますし、各文書うが単語なのか、長文なのか、によっても認知のレベルが変わってきます。
また書く内容によって、その被験者の対人関係能力や生活の状況、現実検討力といったもののを把握する手がかりになる場合もあります。

図形描写(ダブル・ペンタゴン)

「次の図形を書き写してください。」

上記の図形と同じものを描くよう指示します。
これによって構成失効の有無をみることができ、特にレビー小体型認知症、高度のアルツハイマー型認知症の場合は課題遂行が困難になります。

MMSEを実施する上での注意点

MMSEを行う上での注意点は以下のようなものがあげられます。

・質問内容を勝手に工夫しない!
・被験者の体調に配慮する!
・被験者の不安感を煽るので「テスト・試験」という言葉を使わず導入する!
・原則的には正答に導かせるようなヒントは与えない!

正確なデータをとるためにも、このような項目に注意する必要があります。

MMSEだけでは認知症は診断できない

HDS-R同様、MMSEもあくまでスクリーニング検査であることを忘れてはいけません。

「認知障害は,患者および知識の豊富な情報提供者からの病歴聴取と客観的認知評価(ベットサイドで行う精神状態検査であれ,神経心理学的検査であれ)との組み合わせを通して発見され診断される」

と、新しい基準でも認知症の診断にはMMSEの結果のみならず、心理検査といったものも診断に必須であることが述べられています。

まとめ

HDS-R同様、認知症のスクリーニング検査として世界的にも使用されているMMSE。
認知症の方が増えていくことが予想される今後、いくつかの注意点に気をつけながらしっかりと行えるようにしましょう!

作業療法士は語りたい!

個人的に、MMSEは外国でできたものだから、
日本語で使用するときなんか違和感ありますよね。
たしかに最初は「みんなで、力を合わせて綱を引きます」なんて復唱課題、
ちょっと違和感あったもんなー。
でも国際的に使用されているという点ではHDS-Rよりも多く使用されているんですよね!
研究論文などでは、やっぱりMMSEが多いかもしれないね!
MMSEにせよHDS-Rにせよ、
OTはどちらの特徴も把握したうえで使いこなせるようにしなきゃだね!