職業・産業リハ

離職の原因について産業作業療法士の視点で考えてみた。

 

離職の原因は多くの場合、仕事(職場)へ欲求不満が原因とされています。
でも、この欲求不満だけでは必ずしも離職という行動にはつながらないんです。
今回は『離職行動』について、働きにくさをリハビリする産業作業療法士の視点で考えてみました!

離職とは?



“離職”についてですが、その言葉としては、

現在の職業もしくは所属する会社から、退職や失業をすることによって離れること

とされています。

一般的には“仕事を辞める”という意味合いで使用されます。
また、ハローワークの職員、企業の採用を行う人事担当者、人材紹介会社といった“雇用に関わる職業の人々”の間で使われることの多い言葉のようです。

離職とは欲求不満が原因?



心理学の観点からみれば、離職は欲求不満からおこるもの…とされています。
その仕事や職場環境に対しての欲求不満が発生し、ある程度まで高まると様々な形でその兆候が現れるようになります。
そしてその兆候が鎮静、解消されず、益々助長されるような状況が継続することで、結果として“離職”という行動に繋がっていきます。
この“離職”について考えることは、職業リハの分野では障害者雇用を考えるうえでは“定着支援”にも関連する重要なことですし、なによりも「働きにくさ」をリハビリする産業作業療法の支援する対象分野でもあります。

離職への5つのプロセスについて

離職行動が起こるプロセスについてですが、多くの場合以下の5段階にわけて考えることができます。

①欲求不満の発生
②欲求不満の転嫁
③職場不適応兆候の発生
④離職行動へのきっかけ
⑤離職

①欲求不満の発生

まずその職場(仕事)への欲求不満が起こることが何よりも最初になります。
“離職の中核原因”ともされるものであり、大きくは

・仕事のやりがい
・職場の人間関係
・生活環境
…があげられます。

②欲求不満の転嫁

そして上記の“離職の中核原因”が次により具体的な欲求不満な項目に転嫁されていきます。
これは“離職への第1次的動因”とされるもので

・賃金が安い
・賃金格差不満
・家計の困窮化
・作業条件が悪い
・福利厚生が悪い
・職工身分差がある
・会社(職場)の将来性がない
・経営政策がよくない
といったものがあげられます。

項目でわけると、“人間関係”・“能力評価”・“給料”・“昇給(将来性)”の4つになりますが、これらはあくまで離職における“第1次的なきっかけの要因”とされています。

③職場不適応兆候の発生

“離職への1次的動因”の状態が継続していくと、次のような不適応兆候が発生し、現象化していきます。

・欠勤階数が増える
・欠勤理由が曖昧な場合が多くなる
・仕事の意欲が低下し、無責任になる
・孤立し付き合いを避ける
・不満を口に出す
・反抗するor全く逆らわなくなる

自分自身、もしくは過去に同僚や後輩などが離職行動を起こす際にこのような“職場不適応兆候”がみられませんでしたか?
この“職場不適応兆候”は『不安障害』の症状の一種とされており、“パニック障害”・“社会(社交)不安障害”・“強迫性障害”にもつながっていく症状とされています。

④離職行動へのきっかけ

そしてその“職場不適応兆候”の状態で以下のようなきっかけ…“第2次的なきっかけ要因”が発生すると本格的に離職につながっていきます。

・起業を決意する
・家庭事情の変化
・他社からの勧誘
・友人、知人、身内などによる説得
・新しい職場がみつかる
・同僚の退職

⑤離職

欲求不満を感じながら“職場不適応兆候”の状態の上にさらに第2次的なきっかけが発生すると、ついに離職という行動につながっていきます。
現代では多くの場合の離職行動は、欲求不満に対しての回避行動と捉えられますし、上述した不安障害が発生しているとこの段階で心身共にボロボロになっていることがほとんどと言えます。

離職は止めるべき行動?

さて、それではそもそも“離職”という行動は止めるべきでしょうか?
結論から言ってしまえば「状況とタイミング次第」となります。

対象者が職場への欲求不満から離職を決意し、そのエネルギーがその対象者自身の人生において“自己実現のため”といった前向きなものになるのなら離職行動は一つのステップアップとして捉えられます。
しかし明らかに離職行動を起こすことで、即時に生活の破たんを招くような状況下ではその離職にはストップをかけたほうがよいかもしれません。
その場合欲求不満の原因を探り、対応することで改善を促していく…というステップに移行していきます。
どちらにしても、対象者本人、関係機関、関係職員、家族、職場と十分協議して決めることが重要と言えます。

まとめ

離職という行動は、大きく分けて5つのプロセスによって起こされるものです。
そして何よりその多くは「欲求不満」にいくつかの「きっかけ」が加わることで促される行動と言えます。
働きにくさを支援する側としては、その離職が対象者自身のステップアップとしての“前向きな離職”でしたら特に止める必要もなく、むしろ応援する立ち位置をとるべきでしょうが、
あきらかな生活の破たんを招くようなタイミングである場合は、その離職行動を止め、欲求不満の原因抽出と職場環境の改善を図っていくべきかもしれません。

産業作業療法士は語りたい!

離職行動を“企業側”からみるか“対象者側”からみるかによって変わってくるとは思うけど、
少なくても「後ろ向きな離職」を減らす取り組みは、双方にとってメリットにつながることだろうね!
産業作業療法士としてはこの場合、何ができるでしょうね?
支援対象が“企業”の場合は職場環境、作業効率、企業内教育システムといった“離職の中核原因”の改善提案があげられるだろうね!
支援対象が従業員といった“人”の場合はどうでしょうかね?
その場合、何よりもまず“欲求不満の抽出化”から対策を考えることが重要かもね。
その離職が本人にとってステップアップになるのか、生活の破たんになるのか…は見極めないといけないかもしれないですね!
働き方をリハビリする産業作業療法研究会の公式サイトはこちら

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
現在彼氏募集中。
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