神奈川県作業療法士会主催の“作業療法士による地域づくりシンポジウム”について、インタビューしました!

 

今回は神奈川県作業療法士会の理事である“大郷 和成”さんに、2018年3月10日に行われる「作業療法士による地域づくりシンポジウム」というイベントの魅力についてお話をお聞きしました!

「作業療法士による地域づくりシンポジウム」を企画するまでの経緯について

– 今回のこの「作業療法士による地域づくりシンポジウム」ですが、どのような想いで企画に至ったのでしょうか?

そもそも僕が神奈川県作業療法士会の地域包括ケアシステム推進委員会の担当理事になっているというのがあるんです。

その委員会のミッションの一つが「神奈川県の作業療法士会に入っている会員の地域包括ケアシステムの参画を促す」というものなんですね!

でもいきなり「地域包括ケアシステムに参画!!」と言われても“ピン”とこないと思うので、まずはそういう人たちがとっつきやすいような、どういうことをしているのかについて知ってほしいなと思ったのがこの企画の最初の発端だったんですよ!

– たしかに「地域包括ケアシステム」と言われると、なんだか難しそうってイメージが先行してしまいますからね!

他のところは「地域包括ケアシステムとは」という話をしているが、概念の話をしてもやっぱりピンとこないと思うんです。

じゃあ僕らがもうちょっとでもわかりやすく、多くの作業療法士が興味関心を持つことってなんだろうな?って考えたとき、「地域づくり」というキーワードがでてきたんです。

じゃあ地域包括ケアシステムっていう一つのフレーズに関わっている、広義の意味で地域を元気づけていこうと取り組んでいる作業療法士にスポットをあてて、その人たちによる地域づくりという観点から具体的な事例での話をすることで、面白いイベントになるんじゃないかと思いこの「作業療法士による地域づくりシンポジウム」になったんですね!

– たしかに「地域包括ケアシステムとは?」というより実際の現場で取り組んでいる方の具体例のお話ってのはあまりないですよね!

そうなんですよね!
地域包括ケアシステムに作業療法士が参画するっていうことは、最終的には一人一人の住民の人たちが健康になって自分らしく生きていくってこと。

この支援するのって作業療法士の仕事なんですよね!

なので、あくまで地域包括ケアシステムってのは概念でしかなくって、別にそのなかでなにをやるのかじゃなく、「作業療法士として何をするか」が大事なんだと思うんです。

そういう考え方を発信できる場をつくりたいなって思ったので、今回は“地域包括ケアシステム”という言葉はいれずに“地域づくり”にしたっていう背景もあります。

– 作業療法士が地域にでることは今後の課題でもありますからね!

そうですね!
“地域包括ケアシステム”をもう少し広くとらえて、「作業療法士って地域でもっと活躍できるんだよ」っていう観点で企画したってが強いですね!

“地域づくり”のやり方でも、今回登壇していただく2人の講師のように自分で価値を見出して展開していく作業療法士もいれば、僕が理事として関わっている地域包括ケアシステムのように、地域リハビリテーション活動支援事業という公的な事業として関わるOTもいる。
いろんな方法があるってことを大きく“地域づくり”というくくりのなかで発信していきたいなと思いています。

-この大郷さん以外に登壇される予定であるお二方によるプログラムも、それぞれとても興味深い内容ですね!
1つ目の“ショッピングリハビリによる地域づくり”について教えていただいていいでしょうか?

この「ショッピングリハビリ」ってのは商標登録されているんですよ。
そして商標登録してるのが、「光プロジェクト株式会社」っていうところなんですが、この代表取締役が杉村さんという作業療法士の方なんです。

それでこのショッピングリハビリってなにかっておおざっぱに言うと「らくらくカート」っていう、ショッピングをメインとした歩行器がキーワードになります。
「らくらくカート」という買い物に特化した、買い物しやすい歩行器を使って、リハビリテーションを行っていこうと、ひとつのパッケージングされたものがショッピングリハビリなんですね!

-そうなると“ショッピングリハビリ”というプログラムになるんですかね?

そうですね!
それをいろんな形で行政や地方自治体とかと連携して展開しているんです!

あと面白いのが商業施設と組んで行っているという点にあります!

こうすることで、リハビリの場を病院や施設ではなく、「ショッピングセンター」というエンターテインメントである場所を上手く活用していくとができます!
これってまさしく、買い物という“作業”とショッピングセンターという“環境”に高齢者という“人”をうまく組み合わせた取り組みで、まさに作業療法を活かしていることになるんです!

また、ショッピングリハビリをいれている大阪のほうでは、大きなスーパーの一角に自費によるサロンをつくっているんですね
スーパー内のサロンで運動ができ、そのまま買い物…ショッピングリハビリというのもできるようにしていて、広い店内をうまくまわることができるんです!
これをいろんな自治体と組んでいるんですね!

-面白いですね!!

すごい面白い取り組みなんです!
あとこれはNHKにも取り上げられたんですが、函館の朝市っていう結構人があつまる朝市があるんですが、これって遠くからの観光客はくるけど、地元の高齢者があまりこないようなんです。

朝市の会場内を歩くだけの力がないのが大きな理由のようです。

そこにらくらくカートを入れて地域の高齢者がしっかり参加できるようにし、地域の活性化を促すって取り組みを朝市を運営している農業組合と組んで行っているんです。

つまりショッピングリハビリというものをツールにしながら、地域づくりに貢献している。
その発想が完全に作業療法士としてのフレームをうまく活用しているんですよね!

-こういう話を今回の「地域づくりシンポジウム」で聴けるってのはすごい魅力的ですね!

そうなんです。
ショッピングリハビリは行政の支援事業にもはいるし、自費としてもやってたりするので非常に広い幅で活動しているので、多くの作業療法士が聴いてもらうと作り方がわかるし、地域でのOTの活かし方がわかるようになると思います!

-病院の外でどうOTを活かせるかってアイディア勝負なとこありますからね!

このヒントってのが、病院で働いている時に買い物場面でのリハビリの展開…って発想に至って、その後試行錯誤をして独立し今に至っているようなんです。
今回のシンポジウムでは、起業までの想いだとか、他には喋らない作業療法士に向けたお話なんかもしていただく予定です!

– シンポジウムの対象が作業療法士ですからね!
地域で作業療法の技術、知識を活用したいという方には非常にヒントになる内容のお話でしょうね!

そう思います!

– 2つ目のプログラムである「古都鎌倉での自費リハビリの展開」については、どのような内容になるのでしょうか?

ここ母体でやっているところが、「MONO well-being」って株式会社なんですね。
この会社にはいくつか事業があるんですが、主力事業が福祉用具のレンタル販売になるんですが、関連事業のひとつとして自費のリハビリテーションを展開しているんですね!

いわゆる一般の訪問リハ、介護保険にかからない、また、もうちょっと自分のこういうことをアドバイスしてほしいって言うニーズはあるんだけど、それに対してのサービスの提供がなかなか届かないって人をターゲットにしているようです。

この会社で面白いのが、スウェーデンの“健康生成論”という考え方をベースにしている点です!

この会社の代表の方は作業療法士ではなく、エンジニアの方なんですが、スウェーデンに何度も行っていて、スウェーデンの作業療法士と交流をしているんです。
実はスウェーデンでは作業療法士が自助具や福祉用具の貸与をする許可を出すことで、国の公費を使えるというシステムなんです。

そういう意味でも作業療法士の権限が高く、作業療法の考え方がすごい大事だって認識しているようです。
そういった経緯からもスウェーデンの作業療法、リハビリテーションの考え方を鎌倉に持っていきたいということで展開している方になります。

-海外の事例や概念を日本の地域に持ってきた、ということですね

健康になるためのメソッドはいろいろあるんですが、それはなかなか日本に届いていない。
それを日本向けにアレンジしながら自費という形で取り組んでいるんでしょうね!

-まさに地域づくりですね!

あと、「MONO well-being」は事業所があるんですが、一階を住民がこれるコミュニティスペースにしているんです!
住民の人たちがそこでワークショップをひらいたりと会社としても地域に根差しているんですよね。

– あれ?でもこの自費に関する事業は「MONO well-being」のサイトには掲載していないですよね?

実はまだホームページ上では掲載していないんです。
まだ地域密着で展開している段階なようです!

– そうなるとシンポジウムでのお話が最先端、最新情報ってことになりますね!

そうなっちゃいます!(笑)
さらにこの「MONO well-being」は鎌倉市と共同で取り組みをしていて、就労支援も行っているんですよ。
鎌倉市役所内に障害者の雇用をもっと推進しようという動きがあって、そこをマネジメントできるのは作業療法士だっていうのもあって取り組んでいるようです!

– そして3つ目のプログラムは「神奈川県作業療法士会による地域支援実践」という内容で、理事である大郷さんご自身がお話されるんですね!

今回話す内容に関するんですが、神奈川県作業療法士会は横浜市から委託をうけていて、地域リハビリテーション活動支援事業、一般介護予防事業の参画をしているんですね。

横浜市って18の区に分けられているんですけど、それぞれの区から住民主体の“元気づくりステーション”というグループをつくっています。このグループが各区に300近くにもなったんですが、そのグループに健康づくりのアドバイスをしてくれとの依頼をいただき、神奈川県作業療法士会から作業療法士を派遣するということをしています。

– 行政がしっかりと関わっている事業なんですね!

ただ、まだこういったことに参画する作業療法士が少ないんですよね。
病院、施設ってところから抜け出せない…。

– まだ病院の外でOTを活かせるというイメージができないんでしょうね!

それもあって、実際に地域でどういうことをしているのかっていうのをまずみてもらいたいなってのがあります。
地域づくりって言っても、なにか特別難しいことではなくて、普段やっている作業療法をそのまま生かせるので、その作業療法の考え方を皆さんに伝えたいなって思ってます。

– あと準備されているプログラムには、この3人のシンポジウムがありますが、対談という形になるんですか?

そうですね!
ただ初めから台本を作って檀上で話すのではなく、その場での雰囲気によるというか、ライブで行こうって話になってます。
あとフロアでのアンケートも取り入れてその場でつくっていく形になりますね!

ただ一方的にインプットするのではなく、フロアからの参加型という形で、シンポジウムはすすめていこうかと思ってます。
ざっくばらんに進めることで、地域での活動というものが遠いものではなく、近いものなんだって感じてもらえればいいですね!

-なるほど!しかしすごい盛りだくさんな内容になりますね!

概論、概念的な話だけではなく、具体例でのお話もあるので盛りだくさんになっちゃいました!(笑)
ただ、今回の企画で一番大事にしているのは、参加者の方が“半歩”でも踏み出すきっかけになってもらえればいいなって思っているんです。

「地域包括ケアシステムって聞くけどなんだかわからない…」って人に、「あ、OTとしてそういう活動をしているんだ!」って知るだけでも、アンテナの感度が高くなると思うんですよね!

– では最後にこのイベントの魅力についてのまとめをお願いします!

作業療法士が地域で活動するやり方ってすごいいっぱいあるので、まずその一例にふれていただきたいなと思っています。
きっとその中でヒントがあるはずなので、それを形にしてもらえればうれしいです!
今回の「作業療法士による地域づくりシンポジウム」がそのきっかけが作れる場になるはずです!

ぜひ、ご参加ください!

– 大郷さん、ありがとうございました!…これ、僕も参加したいですね(笑)

もちろん神奈川県作業療法士会員の方以外でも参加できますのでぜひお越しください!!(笑)

日時:2018年3月10日(土) 14:00~17:00
場所:水晶院別館会議室(JR・京急 鶴見駅徒歩5分)
参加費:神奈川県OT士会員 1,000円 / 会員外 3,000円

 

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
現在彼氏募集中。
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