インタビュー

【プラスハンディキャップ】編集長、佐々木一成さんが考えるリハビリテーションとは?【インタビュー③】

生きづらさをテーマにしたウェブマガジンを運営する一般社団法人プラスハンディキャップの編集長である佐々木一成さんへのインタビューその3!
今回は「佐々木さんが考えるリハビリテーションとは?」についてです!
リハビリテーション職種の方、必見です!!

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リハビリテーションについての考え

-佐々木さんの考えるリハビリテーションとは?

このテーマでのインタビューはいままでなかったですね(笑)
大前提…というか、僕なりの見解だと「先天性」ってリハビリっていう感覚がないんですよね。

僕のような生まれつきの四肢障害の人って、赤ちゃんのハイハイから、立って…つかまって…歩くの流れから義肢装具とのアジャストが始まるんです。
この頃は、PT(理学療法士)さんやOT(作業療法士)さんが関わっているかもしれないけど
2歳とか3歳の頃なんで覚えていないんです。
今も僕らが一番関わるのは義肢装具士さん。

僕が参加しているシッティングバレーのチームで、障害者同士で話題になったのが、
「先天性の人ってPT・OTってなにをしている人か知らないよね。」ってことです。
だからリハビリって、実は後天性の人の体験だよねっていうイメージが強いんです。

-たしかに、そういうイメージは強いかもしれませんね。

シッティングバレーを始めて、体の歪みについてや歩き方に違和感があるという話をしたとき
「リハビリの先生に相談しないの?」って言われたんですけど
「え?どこで?どうやって?」ってなっちゃいました。

基本的には、僕らが作る義肢装具のタイプはもう決まっているんです。
例えば、病院で診察を受けるということがあっても、
お医者さんに確認してもらう・承諾してもらうためのステップのようなものなので
今さらリハビリの延長のような感覚で歩き方とか相談はしない。
義足とか装具を伴っての歩き方なんで、義肢装具士さんに相談したほうが早いってなっちゃいます。
個人的な感覚かもしれないので、一括りにはできないですけど。

来週義足のメンテにいきますけど、PTさんに相談なんてしないですからね。
だから僕らはそもそもリハビリ関係の人に会わない。
それが逆におもしろいなって思います。

リハビリ職の認知度の低さについて

-PT,OT,STといったリハビリの仕事について何か考えや印象ってありますか?

PT・OT・STって仕事がそもそも一般的に知られていないと思うんです(苦笑)。
さっきから何気なくアルファベットでPTとか言ってますけど
日本語で「理学療法士」って分かっててもアルファベットが何の略かとか知らない(笑)。

僕らプラスハンディキャップのミーティングで話題になったのが
以前、持つべき友達に「警察」「医者」「弁護士」がいるといいって言われていたじゃないですか?

-友人にいると“便利”な職業ってやつですね!

この生きづらい社会をサバイブするって観点だと
「カウンセラー」「ソーシャルワーカー」「保険の営業マン」かもしれないって思うんです。

つまり…“メンタル”“社会制度” “マネー・ライフプラン”に強い友人ですよね。

こういった“ソーシャルインフラ”をどれだけ個々人が友人や気軽に相談できる相手として持っているかが生きづらさを防ぐために大事なんじゃないかと。
そのひとつにリハビリの職種が入ってくると、自分の体の客観的評価と改善提案をもたらしてくれる役割になる。
これも“ソーシャルインフラ”かもしれない。

将来の夢は?と聞かれたとき、子どもってわかりやすい仕事を選ぶじゃないですか。
男の子だったら警察官、消防士、バスの運転手…女の子だったらケーキ屋さん…みたいな!
今はユーチューバーとかも入るんでしょうけど(笑)

「リハビリの仕事ってこういうことをやるんだよ」ってみんなに分かりやすい仕事のひとつとして
ここに入ってくるといいですよね。リハビリの仕事は社会を支える大切な仕事だと思います。

-たしかに特殊な世界ではあるので、具体的なイメージがつきにくいでしょうね。

ぼくは人材業界出身なので、いろいろな職種や業種をみてきましたけど、
専門職や資格職、スペシャリストの方々は、
知り合うきっかけがあればイメージしやすい仕事なんですが
きっかけがなければ全然イメージできない。

医療職だとドクターやナースは広く知れ渡っていますよね。
そのなかで、多くの人がリハビリ職の方々のことを知らない、イメージが湧かないっていうことは、広く知られるための発想が必要ってことなのかもしれません。
以前たまたまPTさんと飲んだとき、
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の違いがわからないと愚痴ったんですが
その回答をじっくり聞いてやっと感覚的には知ることができました。

これから求められるリハビリについて

–これから求められるリハビリテーションってどんなものになると思いますか?

リハビリって、やっぱりハードとソフトの2種類の切り口があると思うんです。
PT、OT、STっていうスペシャリスト達が「リハビリする」ってのはハード面ですよね。

少し話がそれるかもしれませんが、僕ら“生きづらさ業界”の観点からいうと、
「自分の過去と今の比較、他者と自分との比較に悩む」ことがきっかけで
生きづらさが生まれるんです。
過去の自分や他者と比較して「できない」を見つけちゃう。
そしてその比較は、ほとんどが勝てない比較なんです。

例えば事故や病気、加齢など、いろいろな原因でリハビリが必要になってくる場合、
失った機能や衰えた機能などを、これでもかと突きつけられます。
機能回復などを支えるのがハード面の仕事と考えた場合、
メンタルなどのソフト面を支える仕事も大事ですよね。
これがセットでリハビリなんだと思います。

病院で処置をして、リハビリを行って、100%機能回復っていう状態ではない中でも
社会に戻らなくてはならないという状況を考えた場合、
ハード面のケアも大事ですけど、ソフト面のケア、
例えば「比較しないですむ心構え」や「受容」の部分のケアが大切ですよね。

体のトレーニング的なことができるリハビリテーションと、
心のカウンセリング的なことができるリハビリテーションを
きちんと組み合わせたカリキュラムが立てられているのか。
実際にそれぞれの病院やリハビリセンターがどこまで組んでいるのかはわからないですが。

ただ、緊急搬送、手術、入院、リハビリみたいな流れになったときって
僕らは病院も医者もリハビリスタッフも選べない。
選べない中で、病院によってカリキュラムが組まれている・組まれていないがバラバラで
クオリティもバラバラだったら、めちゃくちゃ怖いなって思います。
30歳そこそこでここまでリスクばかり考えるほうが珍しいかもしれませんけどね(笑)。

でもこのリハビリの仕組みがきちっと固まってくれると、
例えば、障害を負ったとしても、社会にカムバックにしやすいんです。
福祉的な支援ばかりをうけなくても、自立した状態で社会に戻ることができるはず。
社会にカムバックする場面まで意識して、患者さんをを支えるのが、
リハビリで求められることなのではないでしょうか?

まとめ

今回のテーマでのインタビューを行って、いまのリハビリテーションの在り方について一人の作業療法士として改めて考えさせられました。
今後はハード面とソフト面の両方をしっかりと支援していくことが、求められているリハビリテーションなのかもしれませんね!

人物紹介:佐々木 一成
1985年福岡市生まれ。生まれつき両足と右手に障害がある。障害者でありながら、健常者の世界でずっと生きてきた経験を生かし、「健常者の世界と障害者の世界を翻訳する」ことがミッション。過去は水泳でパラリンピックを目指し、今はシッティングバレーで目指している。障害者目線からの障害者雇用支援、障害者アスリート目線からの障害者スポーツ広報活動に力を入れるなど、当事者を意識した活動を行っている。2013年3月、Plus-handicapを立ち上げ、精力的に取材を行うなど、生きづらさの研究に余念がない。
Twitter:@issay676767

【関連リンク】
プラスハンディキャップ公式サイト

【プラスハンディキャップインタビュー特集】
①編集長、佐々木一成さんに聞いた設立きっかけについて!
②障害者や社会が抱える課題解決のための事業内容について聞いてみました!

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
現在彼氏募集中。
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