【プラスハンディキャップ】編集長、佐々木一成さんに聞いた設立きっかけについて!【インタビュー①】

“プラスハンディキャップ”というウェブメディアはご存知でしょうか?
障害やうつ、ひきこもり、難病からブラック企業や就労困難といったあらゆる「生きづらさ」をテーマにしているウェブマガジンです。
2014年には一般社団法人化して今年で3年目を迎え、さらに様々な活動を行っていくプラスハンディキャップの編集長佐々木氏に今回取材という形でお話を聞きました!

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人物紹介:佐々木 一成
1985年福岡市生まれ。生まれつき両足と右手に障害がある。障害者でありながら、健常者の世界でずっと生きてきた経験を生かし、「健常者の世界と障害者の世界を翻訳する」ことがミッション。過去は水泳でパラリンピックを目指し、今はシッティングバレーで目指している。障害者目線からの障害者雇用支援、障害者アスリート目線からの障害者スポーツ広報活動に力を入れるなど、当事者を意識した活動を行っている。2013年3月、Plus-handicapを立ち上げ、精力的に取材を行うなど、生きづらさの研究に余念がない。
Twitter:@issay676767

プラスハンディキャップ設立の経緯やきっかけについて

-本日はよろしくおねがいします。

よろしくおねがいします!

-プラスハンディキャップさんを立ち上げるまでの経緯や、きっかけどがあればお聞かせください!

もともと立ち上げたきっかけって別に偉そうなものでもなんでもないんですよ(笑)
2012年ぐらいに、僕と4人の友人がほぼ同時期に「何か個人ブログ始めたいよね」という話題になったんです。
ただ、一人でやっても読者がいない、モチベーションが続かないって理由から4人で1つのサイトを立ち上げてリレー式に運営したらいいんじゃないか?
これならできるよねって話になったんです。

-ウェブメディアのテーマが「生きづらさ」になった理由というのは?

立ち上げ時のメンバーなんですが、義足のメンバー2人、障害者雇用をやっているメンバーと、就活性のキャリア支援をやっているメンバーの4人だったんですね。
その中で共通するもの…それが「生きづらさ」じゃないか?と言う言葉に落ち着いて、
社会で生きていくことでのむずかしさ…それは物理的なむずかしさや精神的なむずかしさなどたくさんあると思うんです。
例えば就活生でいえば、面接で30社受けて29社からお祈りメールが届くとかなりメンタルにきますよね。
いままで生きてきた自分を否定される…そういう「生きづらさ」があると思うんです。
だから始めるなら「生きづらさ」というものをテーマにしたウェブメディアにしようと。

障害者の価値観を変えていきたい!

-佐々木さん自身も「生きづらさ」を感じていたと?

僕は生まれつき両足が不自由で、義足を履いて生活しています。あと右手中指もなくて…
そういう状況で生きてきたなかで、「障害者」というイメージが僕は好きではなかったんですね。大半はネガティブなイメージを持たれちゃう。

その頃、会社を立ち上げたんですが、当時は「アプリ開発で一山当てよう!」みたいな起業の流れがあった時期だったんです。
最先端のプログラミングができて、アプリが作れて、みんなMacで仕事してればかっこいい…みたいな(笑)。
なので、起業家という言葉にかっこいいイメージがあった。

僕は“起業家”と“障害者”って2つのグループにいることになるんですが、「起業してるんですね!」と言われるとポジティブなイメージを抱いてくれますが、「障害があるんですね」と言われると「いろいろあったんですね」とか「がんばってきたんですね」って持たれる印象が変わっちゃう。
同じ相手に対してでもこんなにイメージが違うんだと思いました。

-カテゴリーによって持たれるイメージが大きく変わってしまうんですね。

“起業家”というのは社会を切り開いていく、その分野のプロになりますよね。
努力をわかっていたとしてもやっぱり「かっこいい」「とがってる」とあこがれられる存在であると。
「だから“障害者”というカテゴリーのネガティブなイメージをつくっているのは自分たちなんじゃないか?」って思って。
障害を抱えている人たちが、一人一人がみんな人生充実していたら持たれるイメージも変わるんだと。
例えば障害者が10人いて、過半数がそういう人たちだったらもっと持たれるイメージがポジティブになるのに、みんなが内にふさぎ込んでいてできない。
「無理」というネガティブな思考で被害者意識に苛まれているんです。
そういう人たちが多ければ、自然と社会からの障害者に対してのイメージもネガティブになってしまうのは当たり前です。
だからやっぱり当事者にたいしてメッセージというか、優しさというよりは

変わるべきは当事者の皆さんもだよ!

ということを伝えられるメディアにしていこうかなと思っていまやっていますね!

-プラスハンディキャップは、障害者の方自身が考えを変えるための一つの発信方法であると?

ちょうどたまたま会社で障害者雇用の仕事とかをしていたときなんですが、構図が面白いなと思ったことがあるんです。
障害者の職業訓練…A型やB型、移行支援事業もそうなんですが、結構「ありのままのあなたでいいんだよ」的なところが強いんですよね。
障害があったとしても仕事ができるってすごい!って。
だけどその仕事って障害者のあなたでできるってことだけで、社会のレベルではたいしたことじゃないと。
ワードで一時間に何万字打てるって言っても、こんなのはざらにいますし、エクセルで表計算できるけど、関数やマクロはできるのか?って。
パワポで企画書作れます…企画書ができるのはわかるけど一からからつくれなきゃ社会でなんて通用しません。

障害者も含めて“社会的マイノリティ”、“社会的弱者”といわれている人たちが、社会に立ち向かうための準備ができていないんです。
社会の中で生きていくための準備ができていない上に、「社会が自分たちに合わせてくれている」って、そういう感覚でいる。
人間そこまで暇じゃないんですよ。

すごくかわいくて、僕のストライクゾーンど真ん中の女の子が全然仕事できなくても、僕は育成に熱心になる。
下心アリアリで(笑)。
でも、全然タイプじゃない女の子がその状態だったら関わらないかもしれない。
人間のモチベーションってそんなもんじゃないですか?
綺麗事だけで上がったりはしないし、仕事だから、役割だからと言われれば、やらされ感も発生する。

ただでさえ障害者ってネガティブなイメージがあるのに、自分のもとに配属され、「障害者雇用だからちゃんとやってくれ」なんて言われたら「モチベーション」がどこにあるのか。 

社会に変革を求めるメディアはあるけど、そして、障害者やマイノリティ、弱者にカテゴライズされる人たちに対して「ありのままでいいんだよ」「そのままでいいんだよ」ってメッセージはいっぱいあるんだけど…、受け入れる側に配慮されたメディアはない。
社会が変わろうとしているんだからあなたたちも変わろうよ!
当時そういうことを言っているメディアがなかったので、じゃあ僕らそれをやっちゃおうかってのもプラスハンディキャップのきっかけになりますね!

-障害をもっている方自身も考えを変える段階だということですね

障害者以外の、例えば難病やうつ、LGBTの方も同様です。
もちろん、社会にも環境整備の改善や偏見、無配慮に対する取り組みが必要だと思いますけど、けっこう社会も変わってきているよねと認める必要があると思います。
そのうえで、社会に馴染んでいこうとするこちら側の努力も必要なんじゃないかなと。

“10:0”で社会を改善しよう!というのではなく、社会が7割変わってきているなら、自分たちが3割変われば、合わせて10じゃん!
…こういう発想が僕らの業界では必要だなと。

せっかく、社会側が受け入れようとし始めているなら、私たちも変わるべきだよね。
そういうのを伝えられればいいなと思っています。

-社会が変わる…というよりは社会はある程度インフラが整っているから、こんどは障害を持っている人たちのターンということですね?

そういうことです!
シミュレーションRPGの“ファイヤーエムブレム”方式ですね!(笑)

-わかりやすい!(笑)そういう意味での「健常者の世界と障害者の世界を翻訳者」なんですね!

「お前ら変われよ!」ってメッセージのコラムも大事なんですけど、当事者しか知りえないことと社会の思い込みとのズレを調整するのもぼくらの仕事だと思ってます。
義足を履いている話をする際に、生足のスライドを映して、「義足の人が困ることはなんでしょう?」と質問すると、
大抵「歩くこと・走ること・お風呂入ることが困る」なんですよ。

でもぶっちゃけ困ることって完全に“恋愛”、“ファッション”、“セックス”のことなんですよ!

-そこなんですね!それは盲点でした!

僕の場合、先天性の障害ですが、以前付き合っていた彼女のおじいちゃんおばあちゃんからNGがでたんです。
「先天性の障害者なんて何があるかわからない!」って。そういうのがあると思うんですよ。

-捉え方や認識のズレが障害者と健常者では大きいんでしょうね。

当事者が本当に困っていることと、社会が思っている「こういうところ困るよね」って部分には絶対ズレがあるし、このズレが感情的になると偏見や差別意識になる。
ハード面でズレがひどくなると、予算うんぬんになってくるんです。

例えば、点字ブロックってだいたい道路の真ん中にありますが、これって義足ユーザーから見ると邪魔なんです。
歩きづらい。雨の日は滑ることも。
たぶん、車いすの人も思っていて、ベビーカーを使う人も思っている。
点字ブロックの必要性は理解しているけど、より多くのひとの暮らしやすさを見ると改善する必要があるよねと。
こういう点もプラスハンディキャップで伝えなきゃいけないかなと思っています!


まとめ

今回の取材を通してお話を聞かせていただき、個人的には作業療法士という「支援する側」にはない切り口の考えや発想に触れる事ができ大変勉強になりました!

*プラスハンディキャップ編集長の佐々木さんへのインタビューは3時間にも及ぶものだったので、シリーズ化してお送りします。
次回は「プラスハンディキャップの事業内容」について!

【関連リンク】
プラスハンディキャップ公式サイト