職業・産業リハ

作業療法士が就労支援の対象者を評価する際の3つのポイントについて

 

作業療法士による就労支援、職業リハが広がらない理由の一つとして作業療法はもっと職業リハに関わっていく必要があると思うんです。でも触れたように「どのように評価介入すればよいのかわからない」という知識、技術、経験不足があげられます。
そこで今回は作業療法士が就労支援のクライアントを評価する場合、どのようなポイントを評価すればよいのかについて項目にわけてまとめてみました!

就労支援のクライアントを評価する際の3つのポイント



作業療法士がクライアントに対して就労支援を行う際、以下の3つの条件を基礎に考えるとスムーズかもしれません。
①就労準備条件
②職業選択条件
③職場定着条件

以下、それぞれ詳しく説明します。

①就労準備条件

この“就労準備条件”とは、就労する場合にその職業生活を遂行するために必要となる能力としての条件を指します。
さらにこの就労準備条件はⅰ.基本的社会生活能力、ⅱ.自己管理能力、ⅲ.基礎体力の3つに分けて考えることができます。

ⅰ.基本的社会生活能力

①日常生活習慣(生活リズム:活動-休息/睡眠)
②食生活、身辺処理など(日z章生活活動:ADL)
③社会資源活用(日常生活関連活動:APDL)
④対人関係(会話・つきあい・課題と役割の理解および見通し)

ⅱ.自己管理能力

①疾病管理(服薬・受診・不調の自覚)
②金銭管理
③余暇時間の活用
④ADL、APDLの総合評価と確認

ⅲ.基礎体力

①客観的体力の認知
②筋力と運動速度
③立位、座位の耐久性
④一定の姿勢の維持など体力面での持続

②職業選択条件

“職業選択条件”とは、前述した就労準備条件を基礎に、職業を選択する際に必要とされる能力を指します。
この職業選択条件はⅰ.作業遂行能力、ⅱ.就労意欲の2つに分けて捉えることができます。

ⅰ.作業遂行能力

①課題と役割の理解(認知能力)
②作業遂行の理解と見通し
③作業手順の理解と変更への対処
④作業遂行に対する持続力と安定度

ⅱ.就労意欲

①就労への関心(本来の自己実現との位置づけ)
②可能性の発揮(職業とのマッチング)
③生計の見通し

③職場定着条件

“職場定着条件”とは、その就労が継続するために影響を与える能力としての条件を指します。
この職場定着条件はⅰ.ストレス耐性、ⅱ.満足度の2つの切り口から捉えることができます。

ⅰ.ストレス耐性

①ストレスの認知
②ストレスへの対処法
③ストレスのコントロール(ストレスの回避と発散)

ⅱ.満足度

①要求水準の認知
②働く喜び
③自己実現の実績

就労のベースになる“リハビリの4本柱”が重要

“働くこと”とは決して生活のため“お金を稼ぐ手段”だけではありません。
仕事を通じて社会参加をし、自己実現につなげていくための方法の一つとも言えます。
そう考えると、広義の意味では「自分の身の回りのことができること」や「家事仕事ができること」も“働くこと”になってくるはずです。
作業療法士が“就労支援”を考えると、どうしてもダイレクトに企業による雇用や就労支援事業などが連想されがちですが、その職業生活を支えベースになる“リハビリテーションの4本柱”への評価にも注目することが重要かもしれません。
その“リハビリテーションの4本柱”とは…

①疾病のコントロール
②日常生活のコントロール
③社会生活のコントロール
④仲間づくり
…があげられます。

作業療法士としては、就労支援となるとなにか特別な支援が必要…と考えてしまいがちですが、この従来の作業療法が支援する項目についても改めて注目し評価する必要があるのかもしれませんね!

まとめ

作業療法士による就労支援において、クライアントへの評価のポイントを項目に分けてまとめてみると、大枠では①就労準備条件、②職業選択条件、③職場定着条件の3つから考える事ができます。
ただしこれらの3つの条件も重要ですが、なにより従来の作業療法での支援項目でもある“疾病のコントロール”、“日常生活のコントロール”、“社会生活のコントロール”、“仲間づくり”といった「リハビリテーションの4本柱」への評価も重要になってきます。
クライアント自身の個性や障害特性、生活といったものまで包括的に捉える事で、就労支援のための評価につながっていくということでしょうね!

作業療法士は語りたい!

作業療法士が“就労支援”のための評価項目を考えると、身体障害領域、精神障害領域の枠を超えていることがわかりますね!
もちろん作業療法士自身のキャリアや得意な領域からの評価をベースにしていくって考えでいいのだろうけど、
包括的な視点への必要性は迫られるだろうね!
 

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
現在彼氏募集中。
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