精神・心理学

感情を定量化!エモリーダーが未来の臨床を変えるかもしれない!

“定量化”というと非常に冷たい印象ですが、これ作業療法のエビデンスを追求していくには必要なことだと思ってます。
そこで今回は多様性に富んだ人の“感情”をAIを使用して定量的に測定視する“エモリーダー”についてご紹介!
すごい時代っ!!

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“エモリーダー”とは?

エモリーダーは、人間の表情を読み取り、Ekmanが提唱した7つの基礎感情(喜び、悲しみ、驚き、怒り、軽蔑、嫌悪、恐れ+無表情)がどの程度あらわれているかをパーセンテージグラフで表示する深層学習アルゴリズムを実装したソフトウェア。
引用:株式会社EMOSTA公式サイト

つまり簡単に言ってしまえば、

AIを使って人間の表情からその人の感情を読み取るソフト!!
ってことになります!

プロダクト開発までに蓄積された10万人移乗の表情データをビッグデータとして活用し、AIによるディープラーニングによって評価対象者の感情を判定することができるようです。

開発の背景としては属人的なカウンセリングの限界にあった?



この“エモリーダー”ですが、この開発背景には創業者であり、臨床心理士でもある“アレクサンダー・クリーグ”氏のカウンセリングの質を向上させる目的があったようです。

このカウンセリングの限界について、アレクサンダー・クリーグ氏によるコメントをまとめると、

・1回50分のカウンセリングでずっとクライアントが表出するわずかなサインを見逃さないように集中し続けることは非常に難しい
・コメントを書くことはカウンセリングのあとなので、情報を忘れたり、他者(同僚や上司)の目を気にしてしまいコメント内容も選んでしまうこと
・カウンセラーも人間であり、この人間の経験や直観にしか頼れない方法では客観的な情報収集ができない
・そのため従来のカウンセリング方法ではこれ以上のクオリティの向上は難しいこと
…このように触れています。
これってカウンセリングに限らず作業療法などのリハビリ場面でも同じことが言える気がします。

“エモリーダー”の3つの特徴について

この“エモリーダー”の3つの特徴についてですが、

①カウンセリングが抱える課題解決にテクノロジーを採用していること
②評価対象が“点”ではなく“変化”であること
③“ACT”という理論的背景を基礎にしていること
…があげられます。

①カウンセリングが抱える課題解決にテクノロジーを採用していること

上述したように、創業者であるカウンセラーであるアレクサンダー・クリーグ氏が感じた属人的で印象論な方法でしかないカウンセリングに、感情や体調、集中力の持続といった評価する側の変化によるバイアスがかかりにくい“テクノロジー”を採用することで客観的にクライアントの表情を読み取ることができる点が特徴の一つです。
これも“医工連携”といえますね!

②評価対象が“点”ではなく“変化”であること

“感情”はその時、その瞬間で判断するのではなく「どのように変化していったか」を見ていくものです。
目の前でクライアントが示した表情に至るまでの変化の経緯を踏まえてみないと、正確に判断することは難しいんです。
そのためカメラによる動画によって表情の変化を時系列で判断する方法が必要があり、その方法をエモリーダーは採択しています。

③“ACT”という臨床科学を基礎にしていること

そして3つ目は“ACT”という心理療法の理論、概念を基礎にエモリーダーによる表情、感情分析は行われているという点。

ACT(Acceptance&Commitment Therapy)とは、世界最前線の科学も注目する「マインドフルネス」の汎用性を活かし、幸福を実現するための新たな臨床科学。
従来の心理モデル、セラピーでは『“問題/苦悩/ネガティブな感情”をどのように管理/対処するか?どのように克服するか(打ち勝つか)?』
にメイン・フォーカスが当たっていたのに対し、ACTにおいては『“問題/苦悩/ネガティブな感情”は生きている以上あって当たり前。それらを解決/管理/対処することを手放し、受け入れる。しかしながら、その姿勢こそが変化へのパワーを生む』という、ダイナミックな矛盾に基づいたアプローチをとります。
引用:ヴォイスプロジェクト公式サイト

端的に言えば、クライアント自身が自分の感情の変化を客観的に見つめることで、現在の自分が置かれた状況を冷静に受け入れ、ストレスの原因である“行動と価値観のズレ”に気づくことができる…ということになります。

エモリーダーをクライアントと共に利用することで、クライアント自身が客観的に自分の感情変化をフィードバックすることができる…という側面もエモリーダーは担っていることになりますね!

理論的な背景は“ポール・エクマン”



このエモリーダーによる表情変化による感情分析の理論的背景を探ってみると、アメリカの心理学者である“ポール・エクマン”氏が提唱する「7つの基礎感情」を背景にしているようです。
ポール・エクマン氏が提唱した「7つの基礎感情」とは、
①喜び
②悲しみ
③驚き
④怒り
⑤軽蔑
⑥嫌悪
⑦恐れ
の7つです。
この7つの基礎感情に「無表情」も加わるようです。

エモリーダーはカメラによるクライアントの表情変化を読み取り、この7つの基礎感情に照らし合わせて解釈をするツールと言えます。

ちなみにこのポール・エクマン氏は海外ドラマ『Lie to Me(ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間)』の主人公カル・ライトマン博士のモデルでもあります!!!

エモリーダーでできることって?

では、クライアントの表情変化から感情を客観的に読み取るツール“エモリーダー”によって、どんなことができるのでしょうか?

エモリーダーについての記事や創業者のインタビュー記事などを読み、結論から言えば、

①カウンセリングの精度向上
②カウンセリング技法のトレーニング
③オンラインによるカウンセリングサービスの精度向上
④コミュニケーションに関わる領域の定量化とサービス向上
…があげられます。

①カウンセリングの精度向上

これは“エモリーダー”の開発背景からもわかるように、属人的で印象論になりがちなカウンセリングをバイアスなしで客観的に行うことができ、カウンセリング自体の精度の向上につなげることができます!

②カウンセリング技法のトレーニング

“エモリーダー”をクライアントに向けて使用することとは逆に、カウンセリングを行う側であるカウンセラーに向けて使用することで、カウンセリング技法のトレーニングツールとしても応用ができます。

オンラインによるカウンセリングサービスの精度向上

これは実際にもう導入されているようなんですが、オンラインカウンセリングサービスを展開しているヒカリラボ社が、サービスの質の向上のためカウンセラーをサポートする指標としてエモリーダーを利用しているとのこと。
もちろんこれは診療報酬改訂でも話題になったオンライン診療や遠隔診療にも導入できると思います!

④コミュニケーションに関わる領域の定量化とサービス向上

“エモリーダー”はカウンセリングという心理学、臨床心理学領域から開発されたツールですが、“コミュニケーション”ということを俯瞰的な視点でとらえればあらゆる産業分野にも転用ができます。
インタビュー記事などで触れているのは「コミュニケーションに関わる領域(産業分野)」についてで、一例として企業の営業職においてのお話がありました。

内容としては、売買成約に関わる重要なファクターである顧客と営業社員間の信頼関係構築が、どういった場面で顧客が喜んで、どういった場面で不満を持っているのか、双方で共感度の高いコミュニケーションが取れているのか…ということを定量的に把握することで、属人的だった営業ノウハウを展開し、営業力の底上げにつなげることができる…とありました。

これ、もちろん企業の“営業職”だけでなく病院においての患者接遇にも利用できますよね?
医師や看護師、病院事務といったスタッフのコミュニケーション技術の底上げに応用することができるはずです!

まとめ

表情変化や感情の変化って非常に読み取ることは難しいですし、経験がものを言うってしか言えずじまいでした。
学生や新人教育の際にコミュニケーションの方法について話すときも、そのコツというのをどう伝えればいいかってのにも悩みます。
コミュニケーションにおいて経験を積んでいたり、元々そのセンスがある人は“なんとなく”や“ニュアンス”というふわっとした(笑)手法でなんとかなったかもしれませんが、
やはり人によってはそれが難しい場合があります。
そういったコミュニケーションが苦手な人に対してのサポートツール、トレーニングツールとしても、今回紹介した“エモリーダー”が持つポテンシャルって非常に高いと思うんですよね!

作業療法士は語りたい!

作業療法業界においても、“属人的”、“印象論”といったもので成り立っていたことって多いと思うんだ。
EBOTを謳うのなら、バイアスがかからないテクノロジーを臨床に採択するという発想は非常に賛成ですね!
開発技術がない時代ならともかく、もうこの時代AIでもビッグデータでも技術や利用できる資源はあるんだからね。
上手にテクノロジーを臨床をはじめとした医療分野に使っていく発想が必要なんでしょうね!

参考記事

AIが表情から感情を判定―カウンセラーの職人技は代替されてしまうのか?
人間の感情を定量化する感情認識AI「エモリーダー」
リバネス・エモスタ、感情認識AIを用いた学習効果の定量化についての共同研究を実施
エモスタ公式サイト

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
現在彼氏募集中。
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