作業療法における動作分析を産業工学から考えたら結構捗った件。

クライアントの作業課題を分析するにあたって、その“動作分析”を行うことは作業療法士にとって必須ともいえる項目です。
でも作業療法の領域での動作分析方法ってあまり体系化されていないように感じます。
今回は産業工学(IE)の分野の動作分析法である“サーブリッグ分析”や“フィルム分析”の方法から動作分析を考えてみます。

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動作分析とは




そもそも“動作分析”の意味についてですが、

「1つの作業」あるいは「1サイクルの作業」について、作業者の「動作内容」を詳細に観察し分析すること

とあります。

この作業は理学療法士にとっては歩行であったり、作業療法士にとっては食事、整容といったADL動作だったりと様々な“作業”に当てはめることができると思います。

動作分析の目的について




ではこの動作分析を行う目的とはなんでしょうか?
その作業活動を構成する“動作”に分析し、相互関係を明らかにしていくこと…と『作業療法士による作業分析の目的と方法、動作分析・活動分析との違いについて考えてみた!』では動作分析の目的について結んでいます。

産業工学の分野においては、

その作業を行う作業者の「動作内容」を詳細に分析することで、その中から不必要と思われる動作を排除し、より疲労の少ない経済的な動作の順序や組み合わせを決める事。

とされています。

リハビリテーションの分野と産業工学の分野とでは、同じ動作分析を行うにしてもその目的は異なってきますが、
不必要な動作を排除すること、疲労が少ない動作の順序や組み合わせを決定していくこと…などは、障害を有する人に対しての動作分析にも必要な項目ともいえるので、目的を共有する部分は多いと思います。

動作分析の方法

ではこの動作分析の手法ですが、どのようなものがあるのでしょうか?
大きく分けると以下の2つの方法になります。

サーブリッグ分析
②フィルム分析
それぞれ詳細に説明します!

サーブリッグ分析とは?


サーブリッグ分析とはそもそもアメリカの作業研究の先駆者である“フランク・バンカー・ギルブレス・シニア(F.B.Gilbreth,1868-1924)”によって考案された動作研究の方法です。
“微動作分析”とも呼ばれています。
この分析方法は、人間が何かの作業を行う時の基本動作は18種類の動素(サーブリッグ)に分けられるとして、それぞれを定義して記号化して行います。

ちなみにこの“サーブリッグ”って言葉は、
考案者のギルブレス(Gilbreth)の綴りを反対にしたものなんだ!
面白い!!

サーブリッグ記号について


画像引用:wikipedia

F.Bギルブレイス氏が分類した人間の基本的な18の動作=サーブリッグ(動素)を図表に表しています。
これらの18の動素を大きく3つに分類しています。

第1類

第1類は主に上肢を使用する作業に必要な9つの動作になります。
その作業を遂行するのに必要な要素と言えます。

・延ばす:Transport empty [unloaded] (TE)
・つかむ:Grasp(G)
・運ぶ:Transport Loaded(TL)
・位置を決める:Position(P)
・組み立てる:Assemble(A)
・分解する:Disassemble(DA)
・使用する:Use(U)
・放す:Release load (RL)
・調べる:Inspect(I)

第2類

第2類は主に感覚器官、頭脳を使用する5つの動作です。
第1類の要素を遅くする傾向があります。

・探す:Search
・見出す:Find
・選ぶ:Select
・考える:Plan
・用意する:Preposition (PP)

第3類

第3類は作業に不必要な4つの動作になります。
その作業が進んでいない要素です。

・つかみ続ける:Hold
・避けられない遅れ:Unavoidable delay (UD)
・避けられる遅れ:Avoidable delay (AD)
・休む:Rest

サーブリッグ分析による作業改善のステップ

サーブリッグ分析による作業改善は次のステップで行います。

①動作を工程毎分析し、それぞれ前述した「サーブリッグ記号」でまとめる。
②「第2類」「第3類」の全体に対する割合を調べる。
③その割合が多い場合は“動作に無駄がある”と判断し改善案を考える。

といった流れになります。

例えば、第2類の「考える」という動素で時間がかかりすぎる場合は、その短縮のために「マニュアルやメモを作っておく」「声掛けをする」といった改善案が提案できます。

フィルム分析

フィルム分析とはその対象の作業を“撮影”しひとコマひとコマ分析することによって動作と動作時間を明確にして改善を図る方法です。
フィルム分析には以下の2つの手法があります。

①メモモーション分析

メモモーション分析での撮影は“低速度撮影”をします。
イメージでいうとこんな感じです!

このメモモーション分析の目的としては「作業改善」があげられます。

②マイクロモーション分析

マイクロモーション分析での撮影は“高速度撮影”を用います。
イメージでいうとこんな感じです!

いわゆるスローモーション撮影ですね!
単純反復の作業、両手動作の分析に使用される手法です。

産業工学×リハビリテーションの可能性

以上のように産業工学分野における動作分析の手法を概論程度にまとめてみました。
こうやってみてみると、非常にリハビリテーション…特に作業療法の分野における作業分析、動作分析にサーブリッグ分析やフィルム分析は利用できることがわかりました!
実際に作業療法や臨床の現場でこの手法を取り入れて分析を行っている報告もありますが、、、まだまだ体系化しているとは言えないようです。
これ、作業療法士にとっては結構狙い目だと思うんですけどねー(笑)

まとめ

今回はサーブリッグ分析、フィルム分析といった産業工学の分野による動作分析の手法を調べ勉強することで、リハビリテーション分野での作業分析に応用できるかどうか考えるいい機会になりました。
個人的には非常に魅力的な方法だと感じています。
実際若手の作業分析の苦手な項目に「動作分析」は結構な率で上位にあがっていますから、この手法が解決の一助になればいいですね!

作業療法士は語りたい!

逆に、作業療法の作業分析の手法を
産業工学の分野に応用することって可能ですかね?
それ、すごいできると思うんだ!
あくまで産業工学における作業分析はフィジカル寄りな分析手法だけど
ここに作業療法による精神、心理、環境面といった視点が入り込むことは
産業工学分野にとっても非常に有益な視点だと思うんだよね!
職業リハビリ分野の作業療法士には必要な能力でしょうし、
なにより作業療法士の職域拡大…にもつながる可能性がありますよね!