CAT標準注意検査法の特徴とその目的、各検査の方法について!

注意障害を評価する…といっても日常生活場面で観察を行ったとしても人によって様々ですし、標準化した検査がないと比較もできない…。
そんな時にはCAT(標準注意検査法)が非常に有効です。
今回はこのCATの特徴や目的、また下位検査それぞれの方法といったものについてまとめてみました!

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CATとは?


CAT(Clinical Assesment for Attention)『標準注意検査法』と呼ばれている注意力を検査するツールです。
注意力というものを評価する際、その方法や尺度は評価者によって左右され、標準化されたスケールがなく非常に曖昧なものでした。
この打開策のためにCATが作られ共通の尺度で標準化した評価によって注意力を評価することができるようになりました。
ちなみに開発には日本高次脳機能障害学会(旧 日本失語症学会)が中心になっていたようですが、7年もの歳月(!!)がかかったようです。

CATの特徴




CATの特徴として、評価項目が7つで構成されており、その7つの項目それぞれ異なった注意の質・種類を評価することができます。
そのため被験者は注意障害といってもどのような注意の能力低下を課題にしているのか?という部分を抽出できることが特徴といえます。

CATの目的




何度か触れているようにCATの検査目的としては『注意障害』を評価することにあります。
ただし注意障害の有無を判別するに限らず、その程度、質を把握することも目的としています。
注意障害によって被験者が今後日常生活上でどのような問題が浮上するか?を予測し、作業療法訓練につなげる…という使い方になるでしょうね!

主な対象者

脳卒中や頭部外傷といった疾患によって、注意障害が疑われるような高次脳機能障害の方を主な対象としています。

適応外の例

CATはその検査方法から失語症や記憶障害を有する…つまり注意障害以外の高次脳機能障害がある方には検査を遂行するにあたっての影響をうける場合があります。
また、認知機能低下の方では低成績になることが多く、純粋に『注意障害』 を洗い出すことが困難になってしまいます。

検査環境について




CAT検査は注意障害についての評価を行うこともあり、できる限り外部からの騒音が届かない、集中して検査に向かうことができる環境(個室)が望ましいです。
また景色や物もなるべく被験者に刺激が入らないような工夫が必要です。

検者と被験者の一ですが、基本的には対面の位置で検査を行っていきますが、CPT(パソコン課題)を行う場合は、被験者の斜め後ろから確認する…といった工夫が必要です。

CATに使用する物品について

CATには以下のようなセットの物品があります。

・CPT検査用CD-ROM(1枚)
・聴覚性検出課題用、PASAT用CD(1枚)
・評価用紙(5部)
・プロフィール健常例(20歳代、30歳代、40歳代、50歳代、60歳代、70歳代・各5部)
・プロフィール右半球損傷例(5部)
・視覚性スパン用図版(1枚)
・視覚性抹消課題用用紙(4種類・各5部)
・SDMT用用紙(5部)
・評価用透明シート(1枚)
・上中下検査用用紙(5部)

検査時間について




パソコンを使用するCPTはそれ単独でも50分かかるため、後日実施する…という形式でも問題はないようです。
また、CPTを除いた6つのテストでもすべて実施するのに約50分かかります。
被験者への負担がかかるテストのため、一度に検査できないような場合は前半(①~③)と後半(④~⑥)に分けて行うことも可能のようです。
ただしその際はできるだけ間をあけず、1週間以内に完了するようにします。

CATの検査方法について

Span

Spanの検査は単純な注意の範囲や強度を検討する目的で行われます。
(短期記憶の代表的検査とも言えます)
Spanの検査には『数唱』と『視覚性スパン』の二つがありその方法としては以下の通りになります。

数唱(Digit Span)
数唱は検者が読み上げた数列式をすぐに復唱する課題(forward)と、読み上げた数列式を逆からいう課題(backward)から構成されています。
それぞれ2桁から9桁まであり、第1系列、第2系列が設けてあるのが特徴です。

視覚性span(Tapping Span)
ここでは視覚的な記憶範囲を求める検査になります。
検者が検査図版に描かれた9個の正方形を順に指さし、被験者はそれをすぐに同じ順序で指さす…という課題(forward)と、逆の順番で指さす課題(backward)から構成されています。
数唱同様、それぞれ2桁から9桁まであり、第1系列、第2系列が設けてあるのが特徴です

末梢・検出検査

抹消・検出検査では“注意の持続能力”と“選択能力”が評価されます。
末梢・検出検査には『視覚性抹消課題』と『聴覚性検出課題』の2つがあり、その方法としては以下の通りになります。

視覚性抹消課題(Visual Cancellation Task)
課題遂行を邪魔する刺激(干渉刺激)の中に含まれたターゲット(目標刺激)をできるだけ速く、見落としが内容に消していく…という課題になります。
図形2種類、数字、ひらがなの4つの課題から構成されています。

聴覚性検出課題(Auditory Detection Task)
付属のCDを使用し、提示される5種類の語音の中からターゲット語音である「ト」の音声に対して反応(タッピングetc)する課題になります。
干渉語音としては「ゴ」「ド」「ポ」「ゴ」とターゲット語音に呼び方が近い語音が使われます。

SDMT(Symbol Digit Modalities Test)

SDMTの課題では、適切にかつ同時に複数の情報に注意を配分する“注意の分配性”が評価されます。
SDMTは9つの記号と数字が記載された対応表をもとに、記号に対応する数字を記入していく…という課題になります。
問題数は110個であり、制限時間は90病と設定されています。
この90秒以内にできるだけ多く反応することが求められています。

記憶更新検査(Memory Updating Test)

この記憶更新検査ではある情報を一時的に保ちながら他の操作を同時行う…“ワーキングメモリー(作動記憶)”が評価されます。
検者が連続して読み上げる数系列のうち、末尾3つ(3スパン)ないし、4つ(4スパン)を数唱課題と同様のやり方で復唱する…という課題になります。
3スパン、4スパンともA/B二つのセットがあり、各セット8問で構成されています。

PASAT(Paced Auditory Serial Addition Test)

PASATではSDMT同様“注意の分配性”が評価されます。
付属のCDで連続して提示される1桁の数字について、前後の数字を順次暗算で足していく検査になります。
CATにおけるPASATでは、数字の提示間隔が異なる2つの課題…つまり1つの数字を提示し終わってから次の数字の提示開始まdねお感覚が2秒の課題(2秒条件)、1秒の課題(1秒条件)によって行います。
どちらも問題総数は60個になります。

上中下検査(Position Stroop Test)

上中下検査では、ある刺激から次の刺激へと適切に切り替え、注意を移す能力…“注意の転動性”が評価されます。
3つの位置…上段、中段、下段に配属された上、中、下という漢字の位置を口頭で述べる…という課題になります。
この場合漢字を読むのではなくその位置を読むので、語の持つ意味が位置を判断するための妨害刺激として作用します。

CPT(Continuous Performance Test)

CPTでは様々な認知機能障害における持続的注意力を客観的に評価します。
この検査では提示された刺激のうちある一定の刺激に対してボタンを押す…ということが求められる検査になります。
またCPTでは『反応時間課題(SRT課題)』『X課題』『AX課題』の3つで構成されています。

反応時間課題(SRT課題):数字の⑦のみがランダムな間隔で80回表示されます。⑦が表示される度にできるだけ早くキーを押すことが要求される検査です。

X課題:①~⑨までの数字が400回ランダムに表示されます。その中でターゲットである⑦が表示したときのみできるだけ早くキーを押す…という課題です。

AX課題:X課題同様①から⑨までの数字が400回ランダムに表示されますが、このAX課題でのターゲットは“③の直後に表示される⑦”のみになります。

まとめ

注意障害を評価する検査方法は様々ですが、種類別の注意障害を個々に検査することができるCATは非常に作業療法士の臨床や現場において有用な検査と言えます。
もちろんあくまで場面設定した、机上での検査なのでBITのようにその結果がクライアントの日常生活でどのような影響を及ぼすのか?という点にまで発展的に考え、治療介入に生かすことがOTに求められる能力とも言えます!

産業作業療法×CAT

「働きにくさをリハビリする」産業作業療法研究会の分野において、このCATによる注意障害の評価は非常に就労支援に有益だと考えています。
高次脳機能障害でも精神疾患でも、その職務における作業を遂行するためには、持続的な注意力も、周囲にも分配する注意力も総合的に必要になってきます。
クライアントの注意力を評価するにあたって、どの種類の注意力において得意不得意が現れるのかを客観的に知ることで、環境整備や職務作業内容の検討に役立たせることができるはずです!

作業療法士は語りたい!

CATってCDやパソコンを使用しますし、結構時間がかかるので
対応できるクライアントは限られそうですよね!
たしかに経験上、CATを導入しても途中で疲労困憊になってしまう…なんてケースは多かったね。
でもそれも“課題遂行に対しての耐久性”という点では一つの評価対象でもあるから、
やっぱり検査は点数をつけることだけにこだわらずに導入するようにするべきと言えるね!
“その点数の背景”をしっかりみることがOTにとって重要ってことでしょうね!