「寝たきり社長」の佐藤仙務氏著「働く、ということ」はOT必読な1冊な件。

“仙拓”という会社をご存知ですか?
愛知県にある名刺作成やウェブサイト作成の会社なのですが、この社長、副社長ともに重度障害者の方が務めている会社です。
今回、社長である「佐藤仙務(さとうひさむ)」氏の著書『働く、ということ』を読む機会があったので感想と意見をまとめました!
作業療法士は必読な1冊です!!!!

Sponsored Link

仙拓とは?

2011年4月に愛知県東海市で設立された合同会社(現在は株式化)です。
事業内容としては

ウェブサイト、ウェブコンテンツ、ウェブアプリケーションの企画、デザイン、制作、販売、運営、保守及び管理
パンフレット、チラシ、マニュアル等の印刷物の企画、制作及び販売
パソコンスクールの企画及び運営
インターネットサービスの開発
福祉に関するコンサルティング
とあります。

社長の「佐藤仙務(さとうひさむ)」氏について


幼少期に“脊髄性筋委縮症”の診断を受け、その後寝たきりの状態になり、現在は電動車いすを使用して移動手段にしています。
トイレや入浴介助といったADLは全介助のレベルで、呼吸筋の低下の関係もあって就寝時は人工呼吸器を使用しているようです。
身体機能面で言えば、左手は親指が数ミリ、右手は親指が1ミリ動かすことが可能とのこと。

株式会社仙拓の代表取締役社長だけでなく、般社団法人日本ピアカウンセリングアカデミーの校長も務めているようです。

副社長「松本拓也」氏について



佐藤仙務氏同様、脊髄性筋委縮症によって寝たきり全介助のADLレベルのようです。
書籍の中でも人工呼吸器を使用していることにも触れているため、24時間ではないにしても呼吸器系のリスクはあることがうかがえます。

仙拓では主にウェブデザインやウェブ制作、そして仙拓とは別に代表取締役でやっている株式会社ムーンパレットではアプリ制作を行っているようです。

会社設立までの経緯

佐藤仙務氏は、肢体不自由児が通う“東海市立あすなろ学園”で5年間、その後養護学校で小学~高校を過ごしたようです。
高校卒業後は“障がい者活動センター愛光園”に週3日通いながら、科目等履修生として日本福祉大学にも通いながら勉強していたことが著書で触れられています。
そして佐藤仙務氏が19歳の時に「合同会社 仙拓」を設立して現在に至ります。

会社設立してからの壁について

著書では会社を設立した後でもなかなか仕事の依頼が来ないこと、クライアントのイメージ通りに納品することの難しさから、詐欺にあったこと(!)まで掲載されています。
名刺やウェブサイト制作のための営業や広報、クライアントへのヒアリングなどは社長の佐藤仙務氏が、デザインやコーディングなどは副社長の松本拓也氏が行っているため、
両者間での意見のぶつかり合いも多くあり、何度も“コンビ解散”の危機があったということも赤裸々に著書内で語られていました。

そもそも働くということとは?

今回この著書を読んで、改めてタイトル通り「働くということ」について考えさせられました。

仕事をすること=生活の為のお金を稼ぐこと、は前提にあるのはもちろんですが、
その生活のための手段だけではない、社会参加や自己実現、自分の存在の証明といった要素も含まれていることが感じ取れました。

障害を持つ人にとって、仕事をするということは様々な法案が改正された今でもやはりハードルが高いことと言えます。
それでも「働くという方法にはこんな手段もあるんだ」という意味で、非常に考え方を広げさせられた一冊でした。

まとめ

この「働く、ということ」から人間が“働く”ことの目的と意味を改めて考えさせられました。
結局、重要なのは「できないことorできること」よりも「何をしたいか?」を最優先に考えることなのかと。
その目標を前提にして、考え、行動していくプロセスは、障害があろうがなかろうが必要なことであり、自己実現のための一番の近道なのかと感じました!

作業療法士は語りたい!

この著書を読んで改めて思ったのは、
OTはもっと「社会参加」に力を入れていくべきだと思うんだよね!
「作業療法」の大本や歴史を辿れば「職業療法」になりますからね。
その仕事をすること=どこかの企業に勤めること、だけではないし、
障害を持つ人だったら授産施設や作業所で働くだけ、ではないということが
今回この本を読んで改めて思ったね!
多様性が認められている時代だからこそ、
いろんな選択肢があるんでしょうね!

【参考文献】働く、ということ ―十九歳で社長になった重度障がい者の物語―

【参考サイト】株式会社 仙拓公式サイト