作業分析

作業分析だけじゃない?リハビリで応用できそうな産業工学の“分析”について!

 

作業療法というリハビリテーション医療の分野における“作業分析”って結構頻繁に行われてますし、身近な分析方法だと思います。
でもこの作業分析って別に作業療法の領域だけに限ったものではなく、産業工学や企業の生産効率、生産性向上の分野でも非常に使われる分析方法なんですよね。
じゃあ他にもどんな“分析”があるのか、気になったので調べてみました!

そもそも“分析”とは?



まず“分析”の定義についてですが…

①ある物事を分解して、それらを成立させている成分・要素・側面を明らかにすること。
②物質の鑑識・検出、また化学的組成を定性的・定量的に鑑別すること。
③概念の内容を構成する諸徴表を各個別に分けて明らかにすること。
④証明するべき命題から、それを成立させる条件へ次々に遡っていくやり方。
引用:wikipedia

…とあります。
関連記事:そもそも“分析”ってどんな意味なのか調べたら、非常にリハビリテーション的だった話。

“動き”に関する分析

作業分析(work analysis)



作業療法の分野における作業分析とは、

作業と人間の作業行為を生物的、心理的、社会的、文化的関係のなかで、構成する要素に分け、またその相互関係を明らかにするプロセス

…とあります。
これはあくまでリハビリテーション医療分野における“作業分析”であって、産業分野(特にIE)においての“作業分析”については、

作業の内容を単位作業まで細分化し、ムリ・ムラ・ムダを省いて、標準化やシステム化・新人教育に役立てる分析手法

…となります。
どちらも同じ作業分析ですがその目的が異なるんですね。

動作分析(motion analysis)



動作とは、

何かをしようとして、からだを動かすこと。また、そのときのからだの動き

…を意味します。つまり、

動作分析とは、対象のからだの動きを阻害している原因を探り、問題解決に役立たせるための技法
…と解釈できます。
リハビリテーション分野における“動作分析”はクライアントの立ち上がりや寝返り、起立や着座といった基本的な動作=体の動きを分析し、その動作障害の原因を解明し治療介入の目標化することを目的にしています。
一方産業分野における動作分析は
1つの作業、あるいは1サイクルの作業について、作業者の“動作内容”を詳細に観察し、分析することで、標準の作業方法を確立すること
…をとあります。

歩行分析(gait analysis)



歩行分析となると、リハビリテーション分野でも特に理学療法分野に特化していると思います。
前述した動作分析の中でも特に“歩行”は、動作の中でもより複雑で、より特異的になることから動作分析という大枠で捉えず、“歩行”に特化してカテゴライズした…って感じでしょうね。

活動分析(activity analysis)



“活動”の意味についてですが、

・活発に動くこと
・ある動きや働きをすること

…とあります。
作業療法士による作業分析の目的と方法、動作分析・活動分析との違いについて考えてみた!でも触れましたが、
分析対象の活動が身体機能、精神機能、感覚機能面を軸に、物理的および時間的な観点から目標を達成できるかどうかを分析していく…ということかなーって解釈できます。
まあ、作業療法分野における“活動分析”っていうと環境適応やボバース寄りの領域の印象を強く受けますけどね!

行動分析(behavior analysis)



行動とは、

人間を含む動物の活動や行い全般を指す言葉

…となります。つまり…

行動分析とは、人間または動物の活動や行いを分析すること
…とあり、生物ができるすべての行動を対象としているようです。
この行動分析には、環境を操作することで行動がどの程度変化したかを調べ、行動の原理、法則を導き出す“実験的行動分析”と、その結果を問題行動の解決に応用する“応用行動分析”とに大別できます。
また応用行動分析学(ABA)は発達障害の療育にも使われているものなので、リハビリテーション分野に非常に親和性の高いものになります。

動線分析



動線とは、

建物の中を人が自然に動く時に通ると思われる経路を線であらわしたもの

…であり、本来建設・建築業界で“人の動きを表す線”という意味で用いられてきた言葉になります。
一般的には、

動線分析とは店舗などでのお客さんの動きを分析し、マーケティングや店舗改善などに利用するのが目的の技法
…として使われていることが多いようです。

機能分析



機能とは、

もののはたらき。相互に連関し合って全体を構成しているものの各要素や部分が、それぞれ荷っている固有の役割。作用。 また、そうした役割を果たすこと。

…となります。つまり…

機能分析とは、そのものの最小単位の要素が担う役割や作用を分析すること
…と解釈できます。
一般的にはこの機能分析という用語は、心理の分野(特に心理療法)で使用されていることが多く、
セラピストなど分析者が扱えるレベルの原因に関する仮説を立案し、それを実験を行い、検証していく作業のこと
…という意味になるようです。

課題分析(task analysis)



課題とは、

題や問題を与えること。その与えられた題・問題

…を意味します。つまり…

課題分析とは、対象が与えられた課題を手順毎、階層ごとに分けて示すこと
…と解釈できます。

ただ類義語で“タスク分析”がありますが、この場合、

ユーザーがシステム利用の目的を達成するにあたって必要な行動、およびその手順を、具体的かつ詳細に定義するための分析

…という意味で広く使用されているので注意が必要かもしれません。

操作分析(operation analysis)



操作とは、

機械・帳簿・数式・資金など、道具や仲立ちになるものを役立て働かせること。手段・方法となる手続きを進めること。

…となります。つまり…

操作分析とは、その道具や手段、方法を分析すること
…と解釈できます。

工程分析(step analysis)



工程とは、

仕事を進めていく順序・段階。また、作業のはかどりかた

…となります。つまり…

工程分析とは、その作業が進行していく順序や段階を分析していくこと
…と解釈できます。
作業療法における工程分析を考えると、“活動”を大きなもの(粗いもの)から純に“工程”、“動作”、“運動”に分けた際の“工程”の部分を分析する技法になるのだと思います。

運搬分析(transportation analysis)



運搬とは、

ある物を他の場所へ移す事

…とあります。つまり、

運搬分析とは、その物を人力or運搬機を使用して今ある場所から他の場所へ移動させる作業を分析すること
…と解釈できるのかと。
ちなみに産業分野では運搬分析は広く使われており、その物(製品)の運搬を検討、分析する“運搬工程分析”やムダなくスムーズに流れるように運搬するために、無駄が多い置き方を数値化した“運搬活性化分析”という技法があります。

時間分析(PTS法)



時間分析についてですが、ここでは“PTS法”という手法について触れておきます。

PTS(predetermined time standard system)法」は、人間の作業に含まれる動作要素について、あらかじめ信頼できる「標準時間」を定めておき、その組み合わせにより「標準時間」を設定するもの

…とあります。
時間という観点でその作業、活動を分析するためどの程度遅れているのか、どの位遅いのかについて定量的に評価できるのがメリットの分、正確に分析するには非常に専門的な訓練が必要になってくるようです。
ちなみにこのPTS法にはWF法(work-factor plan)とMTM法(methods-time measurement)というものがあります。

効果分析(effect analysis)



効果とは、

一般的にある特定の行為、動作、操作によって起こった、ある特定の好ましい現象

…を言います。つまり…

効果分析とは、目的とする好ましい現象を起こすための特定の行為、動作、操作のうち、有益なものを定量的に示すこと
…と解釈できます。
リハビリテーション分野ではアウトカム評価につながる技法といえますね!

負荷分析(load analysis)

負荷とは、

・になうこと。かつぐこと。任務を負わされること。
・機械を動かして実際にさせる仕事の量。
・エネルギーを供給する側に対して、エネルギーを消費する側のこと

…といった意味があげられます。
恐らく、多くの場合この“負荷”はネガティブな意味を含むので…

負荷分析とは、分析対象が何に、どの程度“ダメージ”を受けているかを定量的に示すこと
…と解釈できるのかなと思います。

精神、心理における分析

精神分析(psychoanalysis)


精神分析とは、ジークムント・フロイトによって創始された人間心理の理論と治療技法の体系

…とあります。
この精神分析は一般的なカウンセリングとは異なる技法で、クライアント自身が分析していく中で自分の無意識下にある葛藤に気づき、それらを受け入れる事で心の安定を図ることを目標にしています。

自己分析(self analysis)



“自己分析”となると、就職活動などでよく言われますが、定義としては、
自己分析とは、自分を探ること
…ということになります。
自分自身の長所、短所や得意、不得意といったものを深く探っていくことで、自分の価値をみつけていくこと…って解釈でいいでしょうかね?
前述したように“就職活動”という分野で多く使われる技法でしょうけど、リハビリテーションの臨床や現場に出た後でも、自己分析をすることで自分のキャリア形成に役立たせることができると思うんですよね!

目標分析(goal analysis)



目標とは、

身体的運動,心的活動など生体の行う行動が目指している最終的な結果

…と言います。つまり、

目標分析とは、分析対象が目指している目標を達成するために行っていた手段や行動が適切だったかを示すこと
…と解釈できます。
さらに、問題解決における探索制御の戦略となる“手段目標分析(Means-Ends Analysis:MEA)”という技法については、

手段目標分析は現在状態と目標状態があるとき、両者の「差」を縮小する行動を選択する。
その行動は現在状態に対して実行され、新たな状態を生む。
このプロセスが繰り返し行われ、目標状態が現在状態となるまで続けられる。

…とあります。

環境における分析

地域分析(regional analysis)



地域とは、

・ある観点から見た一帯の、かなり広い土地(の範囲)
・政治・経済・文化の上で,一定の特徴をもった空間の領域。全体社会の一部を構成する

…とあります。つまり

地域分析とは、全体社会の一部を構成する単位毎に土地を分け、その範囲内における経済や政治、文化の特徴を示すこと
…と解釈できます。

まとめ

“作業分析”にフォーカスをあてて勉強していくと、作業療法の分野だけでなく産業…とくにIE(産業工学)の分野でも使用されていることがわかります。
目的に違いはあれど、その分析の手法、技法については他の領域、業界から学ぶものは多いと思うので、こういった産業工学業界の分析方法を作業療法に応用すること、
逆に作業療法の分析方法を産業工学業界に応用することで新しい方法や職域拡大にもつながるのかな…なんて思います。

産業作業療法士は語りたい!

作業療法の技術を産業分野に“輸出”すること、
逆に産業分野の技術を作業療法分野に“輸入”する…って発想は、双方の業界の発展にも必要なことなんだと思うんだよね!
作業療法のエビデンス確立のしにくさは、“医工連携”という観点で工学分野の技術から確立していくって発想が今後重要かもしれませんね!
 

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
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