アドラー心理学で考える作業療法の技術について!

アドラー心理学から作業療法を考えると非常に臨床や現場で有効だということが分かっています。
それはクライアントとの関わり方にも、クライアントの目標設定にも、障害受容をどのように導き出すかにもリンクしてきますし、
なにより作業療法士としての自身の技術としても役立つんですよ!
今回はこのアドラー心理学から作業療法を考えてみました!

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アドラー心理学の考え方

アドラーは素質や才能、目的について以下のような考えを基本にしています。

その個人が生まれつきもっている素質がどんなに優れていようとも、それだけでは意味がなく、目指すべき目的がさだまってこそ、価値が生まれる。

つまり生まれ持っている気質や才能がすばらしいのではなく、それをどのような目標に向けて利用するか?という点に重きを置いているということです。

原因論と目的論

心理学でいう“原因論”と“目的論”との違いでもアドラー心理学はよく説明されます。

原因論:うまくいかないのは自分のせいだ
目的論:うまくいかないのは、目標の立て方が適切でないために、自分の素質が正しく使えてないから
つまりこの原因論での考え方は過去のことに対して責任転嫁するばかりでなにも問題解決には至っていない…という現象になってしまいます。

劣等感による成長

またアドラーは、劣等感が個人を成長させ、文化を発展させるとも述べています。

見る視点を変えれば、“劣等感”は“よりよく生きるための訓練”という捉え方です。

ちなみにこの“劣等”というのは、

①器官劣等性:身体の期間が先天的な障害などを持っている
②劣等感:主観的に自分の一部を劣等と感じること
③劣等コンプレックス:自分が劣った存在であることを示し、やるべき課題から逃げること
の3つが主にあげられます。

現実の自分と目標とのギャップに対していだくマイナスな感情=劣等感ということになります。
障害を持つ人の多くはこの劣等感を少なからず抱いていることが多いことは周知の事実です。
それが先天的な障害でも、後天的な障害でも同じこと。
この劣等感が何かしらの“生きづらさ”を抱えることになるのなら、それを少しでも軽くするような配慮も、作業療法士にとっては必要なアプローチなのかもしれません。

ライフスタイル(性格)は選べる

生活するうえで個人が持つ気質や性格…いわゆるライフスタイルですが、これは以下の3つの要素に分けられると言われています。

①自己概念(現在の自己についての信念)
②世界像(世界の現状についての信念)
③自己理念(自己と世界の理想について)

クライアントのライフスタイルを分析的に捉えるためには、これら3つの要素の割合や、どこに重きを置いているのかを把握することで、
クライアントの持つネガティブな感情であったり、目標出だったりする部分を抽出することができます。

ライフタスクについて

“ライフタスク”とは人生で直面する課題のことで、これは逆に言えば人生を豊かに送るためのものと捉えられます。

ライフタスクは5つに分類することができます。

①仕事(ビジネスタスク):生活活動についての課題
②交友(フレンドシップタスク):他者との付き合いかたの課題
③愛(ラブタスク):異性や家族関係においての課題
④精神(スピリチュアルタスク):なぜ人間は生きているのか?といったもの。宗教に関わる
⑤自己(セルフタスク):自分自身と向き合う課題

なんとなくスピリチュアルな印象を持たれる分類ですが、実際これらの分類はクライアントの抱える課題を分析する際に非常に重要なカテゴリーになります。
また、これらのタスク同士は相互に関わり合い、決して一つだけを完璧にこなすことはできないということも、作業療法士は知っておかなければなりません。

自分で陥りやすい勇気くじき

アドラー心理学を学ぶと、結構「勇気のくじき」というワードがでてきます。

勇気がない人は他人の勇気をくじくことに一生懸命になる傾向があるようです。
アドラー心理学では、勇気くじきをする人は、弱い人であると考えています。
勇気くじきをする人こそ、困難を自分で克服することのできない人だということです。

この勇気をくじくパターンですが、

①縦の関係での動機づけ:上下関係をもとに、立場が上の人から下の人へいう言葉
②マイナス思考:決めつけや思い込みによる発言
③人格否定:相手の人格や人間性を否定するような言葉
④原因志向:「何が原因なのか」をつきとめようとする
の4つが主なものになります。

結構身の回りにもこういうパターンで他人の勇気くじきを行う人、多いんじゃないですか?

共同体感覚が必要

共同体感覚とは幸福を手にするための感覚…と解釈できます。
つまり何事も、自分主体ではなく、共同体として考えようということですね。

アドラーは、「仲間の人間に関心を持ち、全体の一部になること」が共同体感覚の基本としています。
また、私的論理から離れ「他者も共通して意味のあること」を目的にするべきだと言います。

ちなみに共同体感覚を構成する4つの感覚は、

①貢献感:私は役にたてる
②所属感:ここにいてもいいんだ
③自己受容:ありのままでいい
④信頼感:無条件に信じる

これってクライアントとの関わり方…ラポールの形成にも必要な感覚ですし、
クライアント自身の障害受容にも必要な感覚といえます。

まとめ

作業療法士が何気なく無意識にクライアントに投げかける言葉や関わり方って、アドラー心理学の観点から分析的にみると結構当てはまる部分が多いと思います。
改めて自分が無意識下で行っていること、「当たりまえ」のことを見直すことで、それは立派な技術に成り得ますし、技術になれば他に伝える、教えることができると思うんです。
アドラー心理学…なかなか深いですね!

作業療法士は語りたい!

アドラー心理学がここ最近はやりだした背景には、
こういった「生きづらさ」を解決する一つの解釈をプロセス化している点にあると思うんだ。
たしかにアドラーが提唱する様々な分類に自分のことや起こった事象を当てはめると、
腑に落ちる感覚が多いですね!
この「生きづらさ」って障害を持つ人にとっては多くが持つ感覚だから、
その枠を外すためのプロセスは作業療法士は知っておくべきかもしれないね!