福祉用具

作業療法士が覚えておきたいコンピュータアクセシビリティ(Windows)まとめ

 

作業療法士にとってパソコンは障害を持つ方のQOL向上や就労支援などへの強力なツールになります。
ただし、いざパソコン支援をするとなると「いかに使いやすくするか…」という課題に直面するかと思います。
今回はWindowsのOSに備わっているコンピュータアクセシビリティ機能を使うことで、無料で使いやすくする方法をまとめてみました!

質問ですっ!
ん?どうしたの?
担当している患者さんがパソコンを使って職場復帰が目標なんですが、なにかおすすめのソフトとかありますか?
ソフト?その患者さんはどんな疾患なの?
脳卒中の片麻痺で麻痺側の上肢が補助手レベルでもやっとの状態なんです。
だから片手で操作できるようにするためになにかソフトがあればなーと思って。
いくらかは貯金もあるようなので「お金がかかるのはしょうがない」とは言っているのですが・・・
あー、なるほど!
それならお金をかけてなにかする前に、『コンピュータアクセシビリティ』を使って使いやすくなるか試してみるといいかもね!
??コンピュータアクセシビリティ???




コンピュータアクセシビリティとは

コンピュータアクセシビリティ(英: computer accessibility)とは、机上でコンピューターを操作する人や、様々な程度の障害がある人や、自動車の運転中で目や手が離せない人なども含めたあらゆる人々にとってのコンピュータのアクセシビリティを指す用語。
引用:wikipedia

元々WindowsやMacにはこのコンピュータアクセシビリティ機能が備わっているから、コスト0で障害がある人のパソコン操作に役立たせることができるんだよ!
・・・知らなかったです。

Windowsの標準アクセシビリティ機能について

アクセシビリティ機能はWindowsの場合、Windows95から標準搭載されているため現在流通しているほとんどのコンピュータに備わっている機能と言えます。
もちろん使用は無料になるので経済的な負担を考えても、このOSによるアクセシビリティ機能で問題解決ができるかどうかを考えていくことが必要となってきます。

視覚に障害がある場合

全盲やロービジョンといった視覚障害だけでなく、糖尿病による緑内障、高齢による白内障で視覚に障害がある人にとって、パソコンのディスプレイが見えにくい、もしくは一部しか見えないというのは非常に大きな問題です。
こういった場合、Windowsの標準アクセシビリティ機能によって解決することができるかもしれません。

拡大鏡

Windowsのアクセシビリティ機能には、画面全体を拡大したり、一部分を拡大するといった機能である「拡大鏡」が標準で搭載されています。

「画面に近づいて」はNG? 視覚障害のパソコン操作には拡大鏡を試すべし!

画面の文字やアイコンを大きくする

拡大鏡機能は部分的な文字やアイコンの拡大ですが、画面全体の文字やアイコンを大きく設定することも可能です。

画面の文字やアイコンを大きくする方法ですが、

①[スタート]→[すべてのプログラム]→[アクセサリ]→[コンピュータの簡単操作]のフォルダ内にある『コンピュータ簡単操作センター』を開く。
②『コンピュータ簡単操作センター』内の[コンピュータを見やすくします]をクリック。
③「画面上の項目を拡大します」の項目にある[テキストとアイコンのサイズを変更します]をクリック
の流れで起動可能です。

画面のコントラストの設定

画面がなんだかまぶしい…文字が背景に埋まっちゃってわかりにくい…なんてときはコントラストを変更することで解決できるかもしれません!

視覚障害で画面が見えにくいならハイコントラスト設定を試すべし!

画面の情報を読み上げる

Windowsでは視覚障害の方のために画面情報、キー入力、メモ帳のテキストの読み上げ機能が備わっています。
ただし『Microsoft Word』などのソフト内での読み上げには対応していないため、別途ソフトをインストールする必要があります。

Windowsのナレーター機能はいろんな意味で惜しい件。

身体機能に障害がある場合

脳血管障害による片麻痺や脳性麻痺、その他神経難病による上肢機能の低下によってパソコンを使用したいのにキーボードやマウスがうまく使えない…という状況は多いかと思います。
そういった時にもWindowsの標準アクセシビリティ機能で解決できるかもしれません!

固定キー

キーボード操作を行う際に、例えば大文字の[A]を打ちたいときは[Shift]キーと「A」キーを同時に押す必要がありますが、脳卒中片麻痺などの障害のために同時にキーを押すことが困難な場合があります。
その際はWindowsのコンピュータアクセシビリティ機能である『固定キー』をONにすることで解決できるかもしれません!
この『固定キー』をONにした状態で[Shift]キーを押すと[Shift]キーがロックされた状態になるので、その後[Shift]キーを離しても、「A」を押すことで小文字の「a」ではなく大文字の「A」を入力することができます。

2つのキーを同時に押すことが困難な時は、Windowsの固定キーがおすすめ!

フィルターキー

パーキンソン病による不随意運動や、上肢の筋力低下によって打ちたいキーをうまく押せない、キーを押しっぱなしにしてしまい「あああああああああああ」となってしまう…という場合は、『フィルターキー』の機能を使用すると解決できる場合があります。
『フィルターキー』を有効にすることで、短時間のキー入力や繰り返されたキー入力を無視することができ、キーボードの繰り返しを遅くすることができます。

不随意運動でうまくタイピングできない時にはWindowsのフィルタキーがおすすめ!

スクリーンキーボード

麻痺などによってキーボードのキーに手が届かない、キーを押せない場合は、モニター上に「スクリーンキーボード」を表示してキー入力を行うことができます。
スクリーンキーボードを使用することで、マウス操作のみで文字入力を行うことができます。

また障害の程度によりますが、マウスのクリック操作も困難な場合はポインタをスクリーンキーボード上のキーの上に数秒(設定可能)停留させるのみで選択できる機能「ホバリング(自動入力)」を使用することで解決できるかもしれません。
加えて、スクリーンキーボードには「スキャン入力」も搭載されているので、一つのスイッチ操作が可能であれば利用することができます。

マウスだけでキー入力!上肢障害のためのスクリーンキーボードについて

音声操作

最近ではスマホの音声入力機能が一般的になってきましたが、Windowsにも標準アクセシビリティ機能として音声入力の機能が搭載されています。
Windows XPでは『音声操作』というよりは声でテキスト入力をする『音声入力』のみの機能ですが、Vista以降はiPhoneのSiri同様音声指示によって操作をすることが可能となっています。
またWinsdowsの音声操作の場合は学習機能も搭載されているので使えば使うほど音声操作の制度が上がっていくようです!

Windowsの音声操作は重度身体障害者のパソコン操作の突破口かもしれない件

マウスが使いにくい場合

マウスの速度の調整

不随意運動がある人にとってマウスの操作は非常に難しいもののようです。
そういったときはマウスの動く速度を調整することによって解決できる場合があります。
ポインタが移動する速度を少し遅く設定するだけで、大きくマウスを動かしてしまってもポインタはわずかしか移動しなくなります。
こうすることで不随意運動や振戦、失調といった症状がある人でもマウス操作がしやすくなるかもしれません。

不随意運動や失調が強い場合はマウスポインタの速度調整で解決!

ボタンの構成

麻痺や指の欠損によってはマウスのボタンの左右の位置を変えたほうがスムーズに操作できる場合があります。

片麻痺だけでなく腱鞘炎にも?マウスボタンを左右交換するとメリットだらけな件

ダブルクリックの速度

ダブルクリックのような連続した動作も、筋緊張が亢進している人にとっては非常に難しい操作の場合があります。
このダブルクリックの速度も、設定によって調整が可能です。

マウスのダブルクリックができない?解決方法は「速度の設定」!!

クリックロック

マウスでドラッグするときは通常はクリックボタンを押したままポインタを移動させる必要がありますが、その動作が困難な場合は「クリックロック」の機能を使用することで解決できるかもしれません。
クリックロック機能をONにすることで、クリックを長押しするとドラッグしたい状況を保持できます。

ドラッグ操作が難しいならクリックロックを使うべし!

マウスを使えない場合

ショートカットキー

一般的にはパソコン操作でプリントや保存などをする際はマウスでボックスを開いてから行うことが多いと思います。
しかしショートカットキーを使用することでマウスが使えなくてもキーボードのみで工程が少なく操作を行うことができます。

作業療法士が覚えておきたいパソコンのショートカットキーまとめ

マウスキー

マウスの操作をキーボードで代替する機能をマウスキーと呼び、これもwindows標準のアクセシビリティ機能です。

マウスが使えない?テンキーをマウスとして使うマウスキー機能について

まとめ

おおまかにでしたがWindowsの『コンピュータアクセシビリティ』といってもこれだけ様々な種類があることがわかると思います。
障害の種類や程度、どのようにパソコンを使用するのかによってコンピュータアクセシビリティの組み合わせ方が変わってくるので、それぞれの特徴をしっかりと把握しておく必要があります。

作業療法士は語りたい!

パソコンやインターネットはその環境さえ整えば、その場にいながら仕事や社会生活など様々なことが可能になるツールになるからね!
これからのOTはもっとこの分野強みにする必要があると思うんだ。
たしかにリハビリ業界を始め、医療業界はIT関連の分野に遅れをとってしまっているっていいますからね…。
 

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
現在彼氏募集中。
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