リハビリテーション評価

作業療法評価における重要な3つの手順について!

 

クライアントに対して最良の作業療法サービスを提供するためには何よりも“評価”が必要です。
ただその評価も思いつくまま何も手順を考えずに行っていては良い評価とは言えません。
今回はこの「評価の手順」について改めて考えてみます!

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作業療法評価の手順



結論から言ってしまうと、クライアントに対しての作業療法評価の手順を大別すると以下のようになります。

①評価目標の立案
②情報収集
③結果の整理、分析、統合、解釈
便宜上番号を振っていますが、必ずしもこの番号順に行うのではなく、“2”と“3”は同時に行っていく場合がほとんどと言えます。

評価目標の立案



“作業療法評価を行う目的”については、『その評価、意味がある?作業療法士が評価をする3つの目的とは?』で触れましたが、ここで説明するのは“その評価を行う目的”についてです。

つまりROMやMMT,HDS-RやAMPSといった様々な評価ツール・技術があるなか、“その評価を行うことでクライアントの何を評価しようとするのか?”を明確にしておく…という意味になります。
漫然とルーチンワーク的にツールを用いて評価をしたところで、「今自分は目の前のクライアントのどんな状態(課題)をはっきりとさせたいのか?」という考えを持ったうえで評価に臨むことが必要になります。

ルーチンワーク的にツールを用いて評価するのは、それは評価ではなく「測定」になってしまうってことだね。
ROM一つでも、きちんとその評価をする目標を持つことが重要なんですね

情報収集



クライアントに関する情報収集についてですが、大別すると
クライアントに直接アプローチする方法
クライアントに間接的にアプローチする方法
の2つに分けられます。

以下では、「直接」「間接」それぞれの方法について説明します!

直接アプローチ

クライアントに直接アプローチして情報収集する手段としては、

①観察
②面接
③検査、測定
④作業活動
の4つがあげられます。

①観察

観察は情報収集のなかでも重要な位置にあり、基本的な技術といえます。
誰でも日常生活を送る上で様々なことを“観察”していますが、この技術を作業療法の臨床や現場に落とし込むとなるとそのOTの持つ知識と経験によって差が出てきます。
逆に言えば「知識」によってクライアントへの観察力は高まるということにもなります。

作業療法士が身に着けたい 「観察力」を高める3つのステップについて

②面接

OTがクライアントに対して行う面接の目的としては、
クライアントの過去・現在・未来の問題についての事実とニーズや考え方の聴取
クライアントとの良好な人間関係の形成
があげられます。

作業療法における面接の2つの目的とは?

③検査、測定

作業療法の臨床や現場で勘違いされやすいのが、前述したように『評価=検査、測定』と考えられがちということです。
あくまで検査、測定は作業療法評価の一部であり全部ではないということです。
むしろ、『評価={検査、測定・観察・面接・結果の整理、分析、統合、解釈}』のような表現のほうが正解だと思います。

作業療法士が行う検査・測定の2種類の方法と4つの注意点について

④作業活動

評価における情報収集で「作業活動」があてられる点が理学療法評価との違いになりますし、作業療法の強みにつながると考えられます。
ただし多くのOTが「作業」という言葉に振り回されてしまって、本来の評価目標や視点からずれて行ってしまうことも多いように筆者は感じます。
教科書的には便宜上「作業活動」という表現をしていますが、本質的には「クライアントに必要な“生活”活動」や「クライアントにとって“価値が高い”活動」という意味に近い印象があります。

作業療法士の「作業」の意味を英語や語源から考えてみた。

間接的アプローチ

情報収集における間接的なアプローチとしては、そのクライアントに関わる人物から得ることが主なものとなります。
このクライアントに関わる人物として例をあげるなら…

Dr.(医師)
Nrs(看護師)
PT(理学療法士)
ST(言語聴覚士)
MSW(医療相談員)
CW(介護福祉士)
CM(ケアマネージャー)

といった医療チームのスタッフはもちろん、

家族
親戚
近所の友人や知人
職場の人
同じコミュニティに属している人

といったクライアントの生活上の関係者にまで至ります。

クライアントの担当医療チームからは、各職種の専門性からみた見解や現状の課題、今後の予後予測を知ることができますし、
家族といった生活上の関係者からは、病前の生活状況や性格といったことも重要な情報として収集できます。

結果の整理

直接的、間接的な情報収集を終えた後はそれらの結果を整理することが必要です。
この“整理”ですが、別に評価用紙やメモをまとめておく…ということではなく、収集した各情報の要素を“優先順位”に並び替え、“つなげまとめる”ことと言えます。
そうすることで一つ一つ独立していたように捉えられていた評価項目(情報収集項目)をより立体的に、多角的に捉えることができます。
またこの段階で「あ、この評価(or情報収集)も必要だった!」なんて気づきも得られる場合が多いので、必ず次の分析に移る前に一度整理をしておく必要があります。

結果の分析、統合、解釈

情報収集をし、整理をした後に初めてそれらを分析、統合、解釈する作業に移ります。
この工程について、OTの学生や新人スタッフだと非常に苦手意識を持つようです。
しかし結果の分析、統合、解釈については、その方法やコツというものを知ってさえいれば非常にスムーズに行うことができますし、それが理解できていればどんな疾患、どんな障害においても当てはめることができます。

臨床で作業療法評価結果の分析をスムーズにする4つの方法

まとめ

作業療法評価を行うにあたっての手順については「なぜその評価を行うのか?」を頭に入れながら、評価の目標を持った上で行うことが望ましいといえます。
その目標に沿った評価を行い、さらにその結果を分析、統合、解釈をすることで初めて目の前のクライアントが持つ課題が明確になってくるのではないでしょうか?

作業療法士は語りたい!

OTって学生時代に評価実習があるから、これらの手順は頭に入れておく必要がありますよね。
どうしても養成校のカリキュラムや評価実習の指導内容は「“測定”を上手に行う方法」に偏ってる感じがあるからね(苦笑)
「なぜその評価や測定を行うのか?」っていう目標設定の部分がすっぽ抜けて指導されていること多いんでしょうね。
数値だけを正確に測定するのが目的になってる「測定マシーン」のような若い子、多いからね…

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OT愛東

臨床15年目の作業療法士。
作業療法士としてのキャリアと同時に、音楽関係、アパレル関係、ナイトビジネスなどの経験を経て現在ウェブ事業の展開も行っている。
現在は作業療法士のキャリアアップを目的としたウェブメディア『作業療法プレス』をはじめ、複数のブログメディアを運営。
また、自身の様々なキャリアから、改めて「働き方」を考え、支援するために“働きにくさをリハビリする”産業作業療法研究会を設立。
日本作業療法士協会会員・日本職業リハビリテーション学会員・両立支援コーディネーター

OT若菜

臨床3年目の新人作業療法士。
手先が器用なため、手工芸を用いたアクティビティでの介入が得意。
これといった趣味はなく休日は家でダラダラしている。
現在彼氏募集中。
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