作業療法士が行う検査・測定の2種類の方法と4つの注意点について

作業療法士は臨床や現場でクライアントの評価を行う際、様々な検査や測定を行う機会があります。
検査方法によっては、その結果を数値として示す場合にはその変化を正確なものにするためにもいくつかの注意点に気をつけないといけません。
今回は一例として上肢の動作や作業能力の測定する検査の種類と、実施するうえでの注意点についてまとめてみました!

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身体能力を測定する2つの方法

クライアントの持つ身体能力を測定する方法として大きく分けると、

①限界測定法
②限定測定法
…の2つの方法に分ける事ができます。

①限界測定法

限界測定法とは、被験者に最大努力をさせてその結果を求める測定法です。
例としてあげれば、

・1分以内にペグをどれくらい早く、何本ボードに差し込むことができるか?
・右から左へ輪入れ動作を30秒でどのくらいできるか?
といったものがあげられます。

上肢機能検査バッテリーである「MFT」や「STEF」はこの“限界測定法”での検査方法といえます!

②限定測定法

限定測定法とは、被験者に一定の仕事量や一定の時間負荷を与えて、その間の身体的状況の変化を測定する方法になります。

例としては、

・5分間、立位の姿勢でサンディングを行った場合の脈拍数の変化がどうなるか?
・車いす座位の姿勢でお椀に入っている50個の豆を箸で皿に移す動作を行った場合、脈拍数がどう変化するか?
といったものがあげられます。

動作・作業の速度を測定する方法

クライアントの動作や作業の速度を時間的にとらえ、その能力を計る“速度検査”の方法ですが、大きく分けると…

①時間制限法
②作業制限法
…の2つの方法に分ける事ができます。

①時間制限法

“時間制限法”とは、ある一定の時間内においての被験者の作業量を測定する方法です。
この場合速度も測定する能力の一部として重視します。
時間制限検査(速度テスト)では、十分な時間があれば比較的容易に答えることができる課題で構成されていますが、その分量は時間内に回答できないほど多く与える必要があります。

例としては、

・10秒間でビーズを右から左の箱に何個移動できるか?
といったものがあげられます。

②作業制限法

逆に“作業制限法”とは、一定の作業を遂行するのにどのくらいの時間を要するかを測定する方法です。
この場合被験者が正答できる水準を明らかにすることを重視した研究法になります。
作業制限検査(力量テスト)では、提示する問題は初めは簡単でも徐々に難易度が上がり、ほとんどの被験者が最終の問題まで試みることができるように設定されています。

・10個のビーズを右から左に移動するのに要するのはどのくらいの時間か?
…が例として挙げられます。

実際のOTの臨床や現場では、「時間制限法」によるものが多いですよね!
「作業制限法」ではその課題作業と被験者の能力によっては、
とんでもない時間がかかってしまうかもしれないから実用的とは言えないんだよね…

補足:力量検査について

力量検査とは、“特に時の制限を行わずその課題が遂行できるかどうか?”を測定する方法です。

・針に糸を通せるか?
・シャツのボタンを最後までしめれるか?
と言ったものが例としてあげられます。

検査・測定に関しての注意点

その検査・測定方法が速度検査でも力量検査であっても、共通して気をつけないといけないいくつかの注意点があります。

①経過をしっかり観察する

どうしても検査・測定を行うとその“結果”にのみ注目しがちですが、その課題遂行においての動作パターンや表情、姿勢の崩れといった“経過の観察”も重要な項目といえます。

ボールを右から左の箱に5個移動するのに被験者Aさんは23秒、被験者Bさんは15秒かかった。
という結果が得られたとしても、時間がかかったのはそのボールまでの“リーチ動作”なのか、ボールを“把持する”動作なのか、左の箱に“移動する”動作なのか、ボールを“離す”動作なのか…によって今後の治療介入の内容も変わってきます。

②検査方法を厳守する

STEFやMFTといった検査バッテリーは、一定の基準化された検査方法の上で検査を行うことが前提条件となっています。
その検査項目の順番がバラバラになったり、OT側の思いつきだけで変えて行うのでは、その検査結果を比較検討する際の障壁に繋がってしまいます。
必ずその検査方法を守り、一定の流れに沿って行うことが求められます。

③検査肢位(姿勢)を一定にする

同様に検査を行う際の肢位や姿勢が変化しても、その結果の信頼性が低くなってしまう場合があります。
初期評価ではベッド上座位で行ったのに、最終評価では車いす座位で行った…なんてことでは、純粋な検査結果が得られなくなっていまいます。
このような事態を招かないためにも、初回で行った検査の姿勢や場所といったことまで記載しておくとよいかもしれません!

④教示内容を一定にする

検査・測定を行うにはOT側の教示内容や方法も一定のものにしなければいけなくなります。
教示するセリフや、その際のOTの立ち位置、事前にデモンストレーションを加えるのか、予行練習を行った上で検査開始するのか、といったものも初回検査と同様にしないといけません。

まとめ

今回は上肢機能の検査・測定を例としてその方法の種類と注意点について触れましたが、これはADL動作能力の検査においても、精神、心理検査においても同じことが言えます。
信頼できるデータを出すためにも、このような注意点に気を付けたうえで、検査・測定を行う必要があります!

作業療法士は語りたい!

どうしても検査・測定の方法を初回で行った通りに再現するのって難しいですよね。
被験者の姿勢や検査場所の設定なんかは比較的再現しやすいかもしれないけど、
教示内容なんかは被験者の反応に伴って検者側も変わってしまうことが多いからね!
より信頼性の高い検査結果を得るためにも、
パソコンソフトやアプリなんかが開発する必要があるかもしれないですよね!